自動車関連税の見直しを!! 新型コロナ禍で実感したクルマの必要性

 新型コロナウイルスの影響で、収入が激減した人も多い。そのために各種の税金に関して、納税期間の猶予が検討されたり、実施に移されている。

 国税と地方税では法律は異なるが、基本的な考え方は同じだ。法令の要件を満たす場合、申請を行うことで、原則として1年以内に限り納税が猶予される。状況に応じて、猶予期間をさらに1年間伸ばす場合もある。また猶予期間中は、延滞税の一部あるいは全部が免除され、財産等の差し押さえも行われない。

 以下、現時点での自動車関連諸税の(納税期限延長などの)対応と、これを機会に見直すべき自動車関連諸税について分析してみる。
文:渡辺陽一郎 AdobeStock

■自動車税(軽自動車税)は納税猶予の対象に

 クルマの場合、購入後に納める税金には、毎年納税する自動車税(地方税/都道府県税)と軽自動車税(地方税/市町村税)、継続車検時に納める自動車重量税(国税)がある。

 燃料も課税の対象とされ、消費税のほかに、ガソリンには揮発油税および地方揮発油税(国税)、ディーゼルエンジンが使う軽油には軽油引取税(地方税/都道府県税)などが含まれる。

 これらのうち、自動車税と軽自動車税は、納税猶予の対象に入ることが決まった。

 新型コロナウイルスの影響により、収入が大幅に減った、納税者本人や家族が病気に掛かった、といった理由のある人は、申請をすることで納税期間が猶予される。例えば東京都では、自動車税を含めたすべての都税が猶予の対象で、猶予期間は今のところ1年間、延滞金は全額免除される。

■「猶予の期間」が違うので注意!

 自動車重量税は、購入後には車検とあわせて納める。現状では自動車検査証の有効期間が延長された。延長の目的は、収入が減った人達への配慮ではなく、集団感染を防ぐことだ。3月には運輸支局などが混雑するため、これを緩和することが目的になる。

 延長の対象は、当初は2020年2月28日から3月31日までに車検期間が満了する車両で、同年4月30日まで伸ばした。この後、感染拡大を防ぐ目的でさらに延長され、今はすべての車両に関して有効期間を同年6月1日としている。

 その結果、車検時に納める自動車重量税と自賠責保険料も、6月1日まで納税と振り込みが猶予される。

 ただし同じ自動車に関する税金なのに、自動車税/軽自動車税と自動車重量税では、猶予期間が大幅に違う。自動車税と軽自動車税は、前述の通り1年間の猶予を受けられるが、自動車重量税は、車検期間の延長で6月1日まで伸ばされたに過ぎない。そしてもともと6月1日以降に車検期間が満了する車両は、今のところ猶予も行われない。自動車重量税は納税者の困窮には配慮しておらず、自動車税/軽自動車税と足並みがそろっていない。

 この点を国税庁に問い合わせると「今のところ自動車重量税に6月2日以降の猶予はない。ただし法案には、自動車重量税を含めた国税の猶予が盛り込まれた。これが通過して2020年4月末日頃に成立すれば、その後に自動車重量税の猶予も認められる。従って現時点(4月下旬時点)で、正確なところは分からない」と返答された。

クルマが生活や仕事の必需品になっているユーザーは多い。自動車税や軽自動車税と同様、自動車重量税と自賠責保険料にも猶予が絶対必要だ。

【ここまでのポイント】
・自動車税(軽自動車税)は「(新型コロナ感染症で)収入が大幅に減少」などの理由があれば納税が1年間猶予される(都道府県で異なるが東京都の場合は下記参照)
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/ncov/new_virus_yuyo.html
・いっぽう自動車重量税(と自賠責保険料)は2020年6月1日まで支払いを猶予
・国税庁は「国税の猶予を盛り込まれた法案が提出されており、それが通れば猶予期間が伸びるだろうが、現状はまだわからない」と回答
・クルマは生活必需品であること、緊急事態であることを踏まえると、納税猶予は絶対に必要

■ガソリンや軽油の税制も見直しが必要

 冒頭で触れた燃料課税も見逃せない。国税庁は「燃料に含まれる税金は、あくまでも燃料の製造業者から徴収している。製造業者がそれを価格に転嫁しているだけ」というが、その説明は間違いだ。

 なぜなら燃料に含まれる税金は、もともと「道路特定財源」として設けられたからだ。道路建設や整備費用は「道路の恩恵を受ける自動車ユーザーが負担すべき」という考え方に基づく。従って「製造業者から徴収している」のではなく、「製造業者が自動車ユーザーに代行して納税している」というのが正しい。だから燃料の税金はすべて価格に転嫁されるのだ。

クルマの燃料は半額以上が税金であり、しかも二重課税。「自家用車は贅沢品であり、それを使用するのは富裕層」という考えが根底にあるから、多くの税が課されている。しかしそんな話はもう現実的ではない

 ところが制度的には「製造業者が価格に転嫁しているだけ」だから、消費税は、ガソリンや軽油の本体価格に揮発油税や軽油引取税を加えた金額に掛けられている。揮発油税や軽油引取税にも10%の消費税を課す「二重課税」を行っているわけだ。

 その結果、燃料価格に占める税金の比率はきわめて多い。特に今は新型コロナウイルスの影響でガソリン価格が1L当たり130円まで下がったから、税金の比率が一層高まった。

 ガソリン価格が1L当たり130円の場合、ガソリン本体の価格はわずか61.58円だ。残りは揮発油税+地方揮発油税(53.8円)、石油税(2.8円)、税金にまで課税される消費税(11.82円)となり、税額の合計は68.42円に達する。

 つまりガソリン価格が130円であれば、約53%は税金だ。揮発油税+地方揮発油税+石油税は、本体価格に関係なく同じ税額を加えるから、本体価格が安くなるほど税金の比率は高まってしまう。

 また仮に軽油の価格が1L当たり130円とすれば、本体価格は86.2円で、税金は43.8円だ。つまり燃料本体の価格は、ガソリンが軽油よりも安い。この順列が税額により逆転して、ガソリンが高く売られている。いい換えればガソリン車のユーザーが負担する税金はきわめて多い。

 しかも道路特定財源制度は、2009年に廃止された。そのために自動車重量税、環境性能割(旧自動車取得税)、揮発油税、油引取税などの「元・道路特定財源」は、一般財源化されて普通の税金として使われている。いい換えればクルマのユーザーは、所有していない国民よりも多額の税金を不当に負担させられているわけだ。

■古いクルマに増税するのは明らかに悪法

 このほかにもクルマ関連の税金には問題が多い。「消費税が10%になったら自動車取得税は廃止する」ことが決定していたのに、これは破られた。自動車取得税は確かに廃止されたが、環境性能割という、ほぼ同じ内容の新しい税金が創設されたからだ。

 古いクルマを乗り続けると、増税される問題もある。最初の登録や届け出から13年を経過すると、「古いクルマは燃費が悪い」という理由で自動車税や重量税が割増されるのだ。新型コロナウイルスの影響で新車を買うことができないユーザーは、増税で一層苦しめられる。

 国は一律10万円を給付するというが、本当に困っている人たちを助けるべきだ。古いクルマの増税は、明らかに悪法だ。仮に自動車税と軽自動車税の納税が1年間猶予されても、結局は割増分まで含めて納めねばならない。

■クルマ産業は景気浮揚の最大の原動力

 自動車税は2019年4月1日の登録/届け出車両から減税されたが、その一方で増税は野放しだ。古い車両のユーザーが、増税に負けて新車を買えば自動車業界が儲かり、乗り続ければ国は高額な税金を徴収できる。国と自動車業界が共謀して、困っている人達を苦しめる構図が見られる。

 法的な課税根拠を失った道路特定財源の存続も含めて、クルマ関連税はもともと見直す必要があった。この課題が新型コロナウイルスの影響で、もはや待てない状態になっている。

 今後国が行うべきは、まず自動車税と併せて重量税にも納税猶予を与えることだ。その間に、燃料課税を含めてまったく新しいクルマ関連の税金を構築する。この時に必要な視点は、国と自動車業界の擁護ではない。困窮している人たちを筆頭に、クルマのユーザーを守ることだ。その仕組みを整えて実践すれば、おのずからクルマも売れて、経済にもいい影響を与える。

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