■ガソリンや軽油の税制も見直しが必要
冒頭で触れた燃料課税も見逃せない。国税庁は「燃料に含まれる税金は、あくまでも燃料の製造業者から徴収している。製造業者がそれを価格に転嫁しているだけ」というが、その説明は間違いだ。
なぜなら燃料に含まれる税金は、もともと「道路特定財源」として設けられたからだ。道路建設や整備費用は「道路の恩恵を受ける自動車ユーザーが負担すべき」という考え方に基づく。従って「製造業者から徴収している」のではなく、「製造業者が自動車ユーザーに代行して納税している」というのが正しい。だから燃料の税金はすべて価格に転嫁されるのだ。
ところが制度的には「製造業者が価格に転嫁しているだけ」だから、消費税は、ガソリンや軽油の本体価格に揮発油税や軽油引取税を加えた金額に掛けられている。揮発油税や軽油引取税にも10%の消費税を課す「二重課税」を行っているわけだ。
その結果、燃料価格に占める税金の比率はきわめて多い。特に今は新型コロナウイルスの影響でガソリン価格が1L当たり130円まで下がったから、税金の比率が一層高まった。
ガソリン価格が1L当たり130円の場合、ガソリン本体の価格はわずか61.58円だ。残りは揮発油税+地方揮発油税(53.8円)、石油税(2.8円)、税金にまで課税される消費税(11.82円)となり、税額の合計は68.42円に達する。
つまりガソリン価格が130円であれば、約53%は税金だ。揮発油税+地方揮発油税+石油税は、本体価格に関係なく同じ税額を加えるから、本体価格が安くなるほど税金の比率は高まってしまう。
また仮に軽油の価格が1L当たり130円とすれば、本体価格は86.2円で、税金は43.8円だ。つまり燃料本体の価格は、ガソリンが軽油よりも安い。この順列が税額により逆転して、ガソリンが高く売られている。いい換えればガソリン車のユーザーが負担する税金はきわめて多い。
しかも道路特定財源制度は、2009年に廃止された。そのために自動車重量税、環境性能割(旧自動車取得税)、揮発油税、油引取税などの「元・道路特定財源」は、一般財源化されて普通の税金として使われている。いい換えればクルマのユーザーは、所有していない国民よりも多額の税金を不当に負担させられているわけだ。
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