プラグインハイブリッドの選択肢がプリウスを苦しめる!?
プリウスPHVは、前述のように4月末にCEV補助金の増額を控えていたから、登録するユーザーが少なかった。それが今後はプリウスの登録台数に上乗せされる。
現行プリウスPHVは先代型と違って外観をプリウスとは区別して、駆動用電池の容量を2倍に増やした。充電された電気による航続可能距離が長くなり、ソーラー充電システム、11.6インチ画面の新しいカーナビも採用する。
ブラック内装のフロントコンソールトレイが同色になり、プリウスの強すぎるコントラストが解消された。
しかし大量に売るのは難しい。プリウスPHVの月販目標は2500台だが、需要が落ち着く900〜1500台になるだろう。
プリウスPHVの販売が期待されるほど伸びない理由は、プリウスとの価格差と、走行コストにある。
プリウスも燃費が優れているから、プリウスとプリウスPHVの価格差(装備の違いを補正すると実質72万円/20万円補助金額を差し引いて52万円)を走行コストの差額で取り戻すには、プリウスPHVがガソリンを使わずに充電された電気だけで走っても、約27万㎞の走行を要する(電気代は従量電灯Bで計算)。
ガソリンを使って走れば、実質価格差を取り戻せる距離はさらに延びる。
エコロジーは損得勘定だけでは語れず、現行プリウスPHVは先代型に比べると付加価値を高めたが、好調に売るにはもう少し価格差を詰める必要がある。
駆動用電池の容量を増して、航続可能距離をさらに延ばす方法もあるが、価格差が今以上に開くから現実的ではない。プリウスPHVは同じ車名を使うためにプリウスと必ず比較され、それが割高感を強めてしまう。
また輸入車にプラグインハイブリッドが増えたことにも注目したい。今は価格が圧倒的に高くプリウスや同PHVの脅威にならないが、今後は割安な車種が登場する。
また輸入車にはクリーンディーゼルターボが多く、日本ではCEVに含まれて燃費数値に関係なくエコカー減税が免税になるから売りやすい。
そこで輸入ディーゼル車は戦略的に価格を抑え、ガソリン車と比べた時の価格上昇は20万~30万円だ。
ディーゼルは実用回転域の駆動力が高く、軽油価格の安さもあって燃料代がハイブリッドに近い。
ボルボの販売店では「プリウスからV40のD4に乗り替えるお客様が多い」という。V40とプリウスでは販売台数の競争はあり得ないが、今後はVWゴルフにもディーゼルが加わる。
プラグインハイブリッドの割安感も強まると、輸入車に乗り替えるユーザーが増えそうだ。
プリウスは今でも販売上位に入り、軽自動車と5ナンバー車が売れ筋になるなかで、数少ない3ナンバー車になる。
見方を変えると先代型が売れすぎで、今の台数が妥当かも知れないが、プリウスは常に販売1位であってほしい。
プリウスが数多く売れると排出ガスや二酸化炭素の排出抑制に繋がり、低燃費車の指標として、ほかの車種の燃費向上を促進する効果も期待できるからだ。
プリウスは日本車の主役で、日本のユーザーとクルマ作りに与える影響はきわめて大きい。海外ではなく日本のために頑張ってほしい。
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