新型シビック「共感できるところ」と「全然できないところ」熱血緊急寄稿!!


 2017年7月27日、ホンダから新型シビックが正式発表された。セダン、ハッチバック、タイプRと3タイプ同時発表となった10代目シビックだが、発表前より(事前に情報が出ていた関係で)賛否両論あった。

 いよいよ正式発表となって実車の価格や詳細スペックが判明したところで、さてそのコンセプトに「共感できるところ」と「できないところ」があるのではないか。

 かつてシビックを愛した自動車評論家、渡辺陽一郎氏が「愛するがゆえにひと言いいたい!」とのことなので、ぜひご紹介したい。

文:渡辺陽一郎 写真:池之平昌信


■まずは新型シビックの「共感できるところ」

 新型シビックで共感できるのは「シビック」という車名が今でも生き残っていることだ。初代シビックは1972年に発売されたが、当時売られていた日本車で廃止されたクルマは膨大にある。シビックの生存は貴重ともいえる。

シビック

 車両自体については、走行性能が優れている。1.5Lターボはステップワゴンやジェイドよりも動力性能が高く、2.4Lに匹敵する加速力を得ている。

 ATは無段変速のCVTだが、駆動力が高いために、エンジン回転が先行して高まってから速度が上昇するCVTの特性を抑えた。自然な運転感覚が特徴だ。

 走行安定性も満足できる。ステアリングの支持剛性が高く、車両の向きが操舵角に対して忠実に変わる。

 特に18インチタイヤを装着する5ドアハッチバックは、速度を高めてカーブを曲がっても旋回軌跡を拡大させにくい。

 曲がっている最中に、ハンドルをさらに切り込みながらアクセルペダルを戻すような操作をしても、後輪の接地性が削がれにくい。乗り心地の粗さも抑えられ、ミドルサイズの前輪駆動車では走りが上質だ。

 セダンは足まわりが乗り心地を重視した設定で、タイヤサイズも16インチになる(試乗車はオプションの17インチを履いていた)。

 5ドアハッチバックに比べるとカーブを曲がる時の後輪の接地性は少し下がるが、挙動の変化が穏やかだから不安はない。比較的良く曲がり、セダンボディも運転を十分に楽しめる。

 そしてタイプRは異次元の高性能車だ。最大トルクが40kg-mを超える前輪駆動車は世界的にも稀で、駆動力の伝達効率を考えると4WDが好ましいが、前輪駆動にこだわるのがシビックタイプRなのだろう。

 シートの座り心地はおおむね満足できる。後席も広く、身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間はハッチバックが握りコブシ2つ少々、セダンは2つ半に達する。

 ハッチバックは荷室を少し重視したが4名で乗車しても快適だ。走りと居住性には総じて共感できる。

■そして「共感できないところ」は、ズバリ「コンセプト」

 一方、共感できないのはシビックのコンセプトと日本に導入した経緯だ。
新型シビックの開発段階で、日本国内で売ることは想定していなかった。

 それが海外需要と供給の関係でセダンを埼玉県にある寄居完成車工場で製造することになり、「ならば日本でも売るか」と話がまとまった。セダンだけでは弱いため、ハッチバックもイギリスから輸入する。

 従ってシビックセダンを寄居完成車工場で製造する話がなければ、シビックは国内で復活しなかった。これでは「シビックは日本を見捨てて海外専売車になったのに、今さら成り行き的に戻ってこられても困る」という批判が生じて当然だ。

 ボディサイズはセダンの全長が4650mm、5ドアハッチバックは4520mm、全幅は両ボディともに1800mmと幅広い。価格はセダンが265万320円、5ドアハッチバックは280万440円、タイプRは450万360円に達する。

シビックタイプR

 「日本のシビック」を真剣に検討した結果、このサイズと価格に落ち着いたなら相応の説得力が生じるだろう。しかし実際には北米など海外の事情に基づくから、デザインから取りまわし性まで日本の共感は得られない。

 緊急自動ブレーキを作動できるホンダセンシングも大問題を抱える。コンパクトカーのフィット、軽自動車の次期N-BOXなどが採用する歩行者事故低減ステアリングと、誤発進抑制機能が装着されないことだ。

 歩行者事故低減ステアリングは、路側帯を歩く歩行者と衝突する危険が生じた時、警報を発して回避操作がしやすいようにハンドル操作の支援を行う。誤発進抑制機能では、障害物に向けてアクセルペダルを深く踏み込んだ時、誤操作と判断してエンジン出力を絞る。

 この2つは日本の道路環境、事故形態を考えてホンダセンシングに与えられた優れた機能だが、シビックは省いてしまった。つまり日本のユーザーや歩行者を守るためのホンダセンシングとはいえない。またタイプRにはホンダセンシングそのものが採用されない。

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