ルノーE-TECHはワンペダルドライブも可能な2モーターハイブリッド
E-TECHは、1.6L直4ガソリンエンジンと2つの電気モーターがベースとなる。クリオE-TECHハイブリッドも、この排気量のパワートレインを搭載している。
キャプチャーE-TECHプラグインハイブリッドでは、さらに充電容量9.8kWh(400V)の動力用バッテリーを備えており、電力だけで最大31マイル(約50km)を走る。
ちなみに、2020年11月に発売された三菱 エクリプスクロスPHEVの総電力量は13.8kWh、EV走行距離は65kmだったので、E-TECHの電気走行距離はまずまず、といえる。
また、E-TECHプラグインハイブリッドの最高出力は160ps、最大トルクはエンジン分が144Nm、電気モーター分が205Nmの、合計349Nmの出力となる。
ひと昔前のV6エンジンや2Lクラスのディーゼルエンジンと同程度の最大トルクであり、加速は相当いいはずだ。ちなみに、0-62mph(0-100km/h)は10.1秒、最高速度は電気モードで84mph(135km/h)にもなるので、高速巡行も、電力のみでそこそこ耐えられるだろう。
なにより、CO2排出量は34g/km、燃費は1.5L/100km、計算上だと66km/Lオーバーを誇る。これまでルノーには、ZOEやカングーなどのEV車はあったが、主力車種にフルハイブリッドモデルやPHEVがなかった。
ようやく浸透が始まったE-TECHは、ルノーにとって強力な武器だ。アクセルワークと加減速とがダイレクトになるワンペダルドライブも可能であり、マニュアルトランスミッションでガシガシ走るのが好きな欧州のドライバーにも、大いに受け入れられるだろう。
三菱 RVRへの横展開もある!? 中心は欧州仕向けにとどまる可能性も
ルノーによると、E-TECHは、CMF-Bアーキテクチャに基づいた電動化パワートレインだという。「CMF≒コモンモジュールファミリー(共用部品)」という名のとおり、ルノー・日産・三菱のクルマにも、供給可能な状態で開発されているはずだ。
ルノー・日産・三菱アライアンスは、2020年5月に新たな取り組みを発表している。各メーカーが得意とする分野でリーダーを定め、そのリーダーが開発を主導する、といったものだ。
具体的には、eボディ(電気電子アーキテクチャのコアシステム)についてはルノーが開発リーダー、eパワートレイン (ePT)についてはCMF-A/B向けはルノー、 CMF-EV(リーフやeNV200など)向けは日産が開発リーダー、そしてC/Dセグメント向けPHEVは三菱が開発リーダーを務める、というものだ。
今回の新型キャプチャーに使われているCMF-Bプラットフォームは、日産の2代目ジューク(F16、日本未導入)やマイクラ(K14、こちらも日本未導入)にも使われている。
そして、三菱の次期型ASX(日本名RVR)もCMF-Bになる予定だ。となると、これらのモデルたちには、E-TECHが投入されるかたちで開発が進んでいると考えられる。
ただ、2020年12月に登場した新型ノート(E13型)もCMF-Bであるが、パワートレインは日産独自となる第2世代e-POWERが採用となった。3社が発表したルールに完全に従うならば、E-TECHを搭載してもおかしくはなかったのだが……。
ルノーと日産でパワートレイン開発の連携タイミングが合わなかったのか、日産が、ノートは日本で人気のあるe-POWERでいく、と判断したのか、理由は定かではないが、立派なギアボックスを持っており、エンジン動力による走行も可能なE-TECHは、スピードレンジが高い欧州で販売する日産車・三菱車への搭載にとどまる可能性が高いかもしれない。
日産のe-POWER、といえば、先日、欧州日産が発表したCMF-Cのキャシュカイには、1.5Lサイズの可変圧縮比エンジン「VCターボ」を発電専用エンジンとして搭載した新型e-POWERの搭載が発表されている。
この「VCターボ & e-POWER」が、キャッシュカイとプラットフォームを共有する、エクストレイルの次期型にも採用される、というのは、容易に想像ができる。
そして、その「VCターボ & e-POWER」が、CMF-Cの次期型カジャーや次期型アウトランダー(PHEVではない方)に横展開されるかも、今後注目すべきポイントだ。いずれにせよ、3社にとってよい方向へと進んでくれることを期待している。
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