■警察車両を日本に輸出 8人乗りの”ジプシー”
ジプシーはスズキが実質的なインドでの生産・販売を任せている、マルチ・スズキ・インディア社が生産しているが、インドでも現在は市販されていないそうだ。インドでは公用車としての用途がほとんどで警察や軍に納品される。今回輸入されているホワイトのボディは警察仕様とのこと。
ジプシーは現地では8人乗りのクルマだ。リアシートが対面式のベンチシートで、これはランドローバーのディフェンダー90などと同じ。いかにも”人員輸送車”という言葉が似合いそうなミリタリー感を覚える。日本仕様は法規の関係で前向きのシートが設置され定員は4名になる。
ベースは二代目ジムニー(1981年から販売開始のもの)。ホイールベースで約30cm、ボディで約60cm延長されている。全長4010mm、高さ1875mmという数字だけ見ると少し大きく見えるが、現代のSUVたちの大きさからしたらそこまでの巨大さはない。
ただなにか写真からアンバランスさを覚えるのはその全幅のせいだろう。これはベースの二代目ジムニーの規格が旧軽自動車規格であり、このジプシーもオーバーフェンダー込みで1540mmしかない。内装部分の全幅はSJ30と同じなのだ。
担当のまったくの個人的な感想だがこのジプシー、「実にいい」のである。オーディオもないし、車内の快適装備は皆無に等しい(クーラーはあるが)、鉄板だってむき出しだ。しかし逆をいえば余分なものがゼロで、カスタムもできるし、楽しい存在にも思える。
家族を乗せて林道ドライブ。そしてキャンプ場でアウトドア、なんていう理想の週末も過ごせそうだ。ただ、万人受けするクルマではないような気もする。それは二階堂さんも同じ意見だ。
■硬派な4WDを求める層にはピッタリ!? 10台限定で発売
「まちがいなく誰でも乗れるクルマじゃないですよね。内装材もないし、乗り心地だっていいわけじゃないもの。お店に欲しいってお客さんが来ても、ちゃんとお客さんの用途とか、このクルマに求めているものを販売側が理解しないとダメですね。
だってランクル200に乗っている人がこのクルマに同じものを求めても、それは求めているものが大きく異なってしまいますから。後悔はしてほしくないですからね」とは二階堂さん。
このジプシーの作りは”ザックリ”しているイメージは拭えない。雨漏りなども工場出荷状態で発生している個体もあるし、日本人の感覚からするとスズキらしからぬ、と思うこともあるという。
しかしそんな状況も含めて「愛嬌があるなぁ」と思えるくらいでないと、ジプシーに乗ることは難しいのかもしれない。構造からして幌ボディにビスなどでFRPのルーフを固定しているだけだし、基本的な構造は30年前のクルマだ。フロントのウィンドスクリーンだって可倒式というワイルドさ。
やれ遮音性とか、ハンドリングとか、自動ブレーキとか、そんな贅沢を求めるクルマではない。しかしこのジプシーを求める人は決して少なくないと思う。
実用車としての使い方ももちろん考えられる。林業や狩猟などでもジムニーにもう少し荷物が積めたらな、という人も多い。道具として使うオーナーにはこのクルマはこのうえない存在だ。ジプシーの最大積載量400kgは伊達ではない。
もちろんエンスーの向きにもオススメできる。ジムニーは欲しいけれど、登録車のジムニーシエラでも荷室は狭いし、かといって現代の”ヤワ”なモノコックのSUVでは物足りない。そんな人にはぜひのってほしい1台だ。
ジプシーの生産も未来永劫続くわけではない。ましてや日本に輸入され車検もとおる”新車”が手に入るチャンスは、今後二度とないかもしれない。いろいろ考えると、285万円、好き者にとってはじつに悩ましい価格だ。
【ジプシーのスペック】
(カッコ内はJA11ジムニーのスペック)
- 車幅:1540(1395)mm
- 全長:4010(3195)mm
- ホイールベース:2375(2030)mm
- エンジン:直4 1300cc SOHC
- 馬力:60HP/5500rpm
- トルク:10.2kgm/3500rpm
【今回取材に協力してくれたお店】
- RV4 WILD GOOSE
- 住所:神奈川県厚木市田村町11-18
- TEL:046-294-4567
ジプシーに関しての問い合わせは直接店舗にお願いしたい。まだ在庫はあるとのこと。決して敷居の高いショップではないので気軽に相談してほしい。
最後に二階堂さんより読者プレゼント。10名様限定です。歴代ジムニーが載ったカレンダーで来年2月まで使えます!! 応募は以下のURLで4月30日まで。
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