■最近のホンダ車らしい「顔」になったが…
まさに波乱万丈のシビックだが、11代目にフルモデルチェンジすることになった。2021年6月24日に概要が公表されたが、細かなデータと価格は未定だ。納車をともなう「発売」は2021年秋になるという。(編集部註/今秋発売するのは純ガソリン仕様のみで、HV仕様である「e:HEV」と「タイプR」は「2022年登場」と告知された。詳細は後述する)
新型シビックは、基本的には従来型のクルマ造りを継承する。ボディタイプは(日本仕様は)5ドアハッチバックのみで、エンジンは直列4気筒1.5Lターボが用意された。グレードはLXとEXの2種類になる。2022年にはハイブリッドのe:HEVと、スポーツモデルのタイプRを加える予定だ。
外観は今のホンダ車の流れに沿ったデザインだ。フロントグリルを直立させて、顔立ちをハッキリさせている。ボディを側面から見ると、フロントピラー(柱)を従来型に比べて50mm後退させた。室内側に引き寄せることで、ボンネットを長く見せている。このデザインは最近のセダンの流行でもある。
フロントピラーの後退により、左右方向の前方視界も拡大した。従来型は84度だが、新型は87度になった。ボンネットの両端も25mm低く抑えられ、これも前方を見やすくしている。
運転席に座って前方を眺めると、左右の視界が開け、ボンネットも良く見える。車幅やボディ先端の位置も分かりやすい。
ボディの側面については、従来型ではサイドウインドーの下端を後ろに向けて持ち上げたが、新型では水平に近づけた。後席の部分では、サイドウインドーの下端を35mm低く抑えた。
そのために後席に座った時、従来型に比べると閉鎖感が抑えられている。サイドウインドーは、後端部分にリヤクォーターガラスを装着したから、水平基調と相まって後方視界も向上した。今のホンダ車は、フィットを筆頭に安全性を左右する視界を向上させており、新型シビックもその流れに沿っている。
■全長が伸び、全高は低く、全幅は変わらず
ボディサイズは、全長:4530mm、全幅:1800mm、全高:1415mm、ホイールベース(前輪と後輪の間隔):2735mmになる。
従来型に比べると、全長は10mm拡大され、全高は20mm下がった。全幅に変更はない。従来型と同等のサイズだが、ホイールベースは35mm拡大された。全長が伸びたのは10mmだが、ホイールベースは35mmだから、4輪がボディの四隅に踏ん張る形状になっている。
車内に入るとインパネは水平基調を強めた。従来型はスポーティな囲まれ感を重視したが、新型はシンプルに仕上げている。個性的なのは、インパネの中央から助手席の前側に装着された細長い網目状の装飾だ。エアコンの吹き出し口を隠している。
ATレバーは、従来と同じく前後にスライドさせる方式で、エアコンのスイッチは高い位置に装着した。メーターのサイズも大きく、視認性や操作性は良好だ。
シートは新型になって構造を変更している。従来型に比べると骨盤を確実に支えるので、着座姿勢が安定して、長距離を移動する時でも疲れにくい。
後席の居住性も、従来型に比べて向上した。全高は20mm下がったが、天井付近の形状を工夫したから頭上空間は減っていない。前後席の間隔は、前述のホイールベースと同じく35mm拡大されている。そこで身長170cmの大人4名が新型シビックに乗車すると、後席に座る乗員の頭上空間は握りコブシ1つ弱。足元空間は握りコブシ2つ半だ。足元にはLサイズセダンに匹敵する余裕があるので、4名で乗車して長距離を移動する機会の多いユーザーにも適する。
荷室の広さは従来型とほぼ同じだ。ボディ形状の変更とホイールベースの拡大により、リヤ側のオーバーハング(ボディが後輪よりも後方へ張り出した部分)は20mm減ったが、荷室の使い勝手は低下していない。
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