デザインは、さらにヒエラルキーレスに
ボディサイズは4751×1820×1438(全長×全幅×全高)mm、ホイールベースは2864mm。現行モデルと比較すると、全幅+10mm、全長+65mm、ホイールベース+25mmとなり、後席レッグルームが21mmも伸長された(後席ヘッドルームも13mm拡張)。
Eクラスセダンは全長4940mm、Sクラスは5180mmであることから、とりあえずボディサイズのヒエラルキーは成立している。
しかし、エクステリアデザインからは、ヒエラルキーがなくなりつつある。新型Cクラスはまるで、「小さなSクラス」だ。新型Cクラスに採用されたヘッドランプの意匠は、Eクラスや、2021年1月に日本登場したSクラスとも同じコンセプトであり、この3車種の判別は、ますます難しくなった。
かつてはヘッドライトの中に入るデイタイムランニングライトの本数(Cクラスは1本、Eは2本、Sは3本)で判別できたが、そのデザイン要素もなくなった。さらにヒエラルキーレスなエクステリアデザインへと向かっていったようだ。
このように、新型Cクラスには、運動性能の高さが予感されるスポーティさと、Sクラスに通じる高級感がある。メルセデスに乗っている、という充実感を十分に感じられる仕上がりだ。
インテリアの進化がめざましい
新型Sクラスもそうだが、今回の新型Cクラスも、インテリアの進化が大きい。最も歴史ある自動車メーカーのひとつであるメルセデスだが、インテリアは最先端だ。
まず目がいくのは、センターにある縦型11.9インチのセンターディスプレイだ。ドライバー側に6度傾け、ドライバーを包み込むようなコクピット感を出している。
現行はやや癖のあるコマンドダイヤル式であったため、慣れるまでは使いづらさを感じたユーザーもいたようだが、新型では、ステアリングホイールが最新世代となり、ステアリングに備えたタッチスイッチの操作で、ナビやインストゥルメントクラスター内の設定、安全運転支援システムの設定などを完結できるようになった。
運転席に備わる12.3インチのメーターディスプレイも、視認性の良さは現行で実証済みだ。Dセグメント初となるAR(拡張現実)ナビゲーションや、生体認証(指紋、声)によるシートポジションやサイドミラー等の設定、コックピットディスプレイの表示スタイル、ナビゲーションのお気に入り設定などを読み込むことができる。
また、新開発したDIGITALヘッドライトは、130 万個の微小な鏡により光を屈折させることで、きわめて正確な配光が可能となった。ハイビームアシストの細やかさが増し、対向車や道路標識に光が当たらないように調整したりと、機能性が大きく上がっている。
さらには、新たに後輪操舵システムのリア・アクスルステアリングも採用。日常の走行シーンに多い約60km/h以下では、リアホイールをフロントホイールとは逆方向に最大2.5度切ることで、回転半径が小さくなり、クルマが扱いやすくなる。
約60km/h以上では、リアホイールをフロントホイールと同相に最大2.5度操舵し、走行安定性を大きく高める。日常シーンでも恩恵を感じやすい、有能なアイテムだ。
リアステアは、かつて日産のスカイラインやフーガにも採用されていた時代があったが(現在はグレード廃止)、今回の新型Cクラスの方が、操舵の最大角がはるかに大きい。もともとCクラスは、最小回転半径が5.1~5.2mと優れていたのだが、新型Cクラスのリアステア採用モデルでは、この長所をさらに伸ばしてきた。
ちなみに、現行Cクラスで「セグメント初」として話題になったエア・サスペンションは、需要が少ないということで、新型では廃止となったようだ。
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