ヤリスとの棲み分けは? 販売台数日本一奪還の期待値は「60%」
2021年6月現在の累計で、登録車ではヤリス(編注:SUVのヤリスクロスも含むシリーズ台数)が11万9112台、軽自動車ではN-BOXが10万1454台の販売実績を上げている。
特にヤリスの販売ペースは、登場から1年以上経過するが衰えを知らない。年間で24万台前後、月販平均は2万台弱という驚異的な販売台数である。アクアがヤリスを超えるのは、至難の業になるだろう。
現状では、アクアが販売台数日本一の座を取り戻す可能性は、まだまだ低い。しかし、可能性がゼロではないと筆者は考える。アクアのユーザー層は、中高年層が多い。比較的若年からの支持が多いヤリスとは正反対のユーザー構成だ。
したがって、販売店が棲み分けをできれば、トヨタ内でヤリスとアクアの共食いは最小限に食い止められる。各販売店の管理顧客で、半数以上を占める中高年層ユーザーへアクアを積極的に販売していけば、ヤリスを超える販売実績も、見えてくると思うのだ。
初代アクアは特定のチャネル専売車ではなく、全チャネル取り扱いのクルマだった。各チャネルに満遍なく提案候補のユーザーがいるため、提案型営業に取り組みやすい車種といえる。
新型アクアが日本一へ復権するために必要なのは、爆発的ヒットではなく、着実な積み上げだ。大振りをせず、コツコツと当てていく。地道な乗り換え提案が、最も効果的な営業活動になっていくだろう。外(他社客)よりも中(トヨタオーナー)へ目を向けたい。
これを踏まえたうえで、アクアが販売台数日本一に返り咲く可能性は、期待値も込めて60%と予想する。ヤリスの勢いに食らいつきながら、今は、アクアからアクアへの乗り換えをしっかりとすすめて、まずは販売の地盤を固めていきたいところだ。
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記者発表まで謎に包まれていた新型アクアが、ついにベールを脱いだ。とても「いい。」クルマに仕上がっているようである。ここからは、「販売のトヨタ」の腕の見せ所となる。
個人的には、東北復興のシンボルとなったアクアに、再び販売日本一の称号を獲ってもらいたい。新型アクアに期待しながら、販売動向を見守っていこう。
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