新型ヴォクシー/ノア早くも受注3万台突破!! ステップワゴンとどちらがお買い得?

■ミニバンとしての基本的な機能に差はない

 新型ステップワゴンの装備は正確には不明だが、先進装備として分かっているのは、スパーダに装着されるバックドアの電動機能、スパーダプレミアムラインに装着されるハイビーム時に対向車などの眩惑を抑えるアダプティブドライビングビーム程度だ。これらの装備は、新型ヴォクシー&ノアにも用意されるから、ステップワゴンの優位性にはならない。

 そして新型ステップワゴンは、先代型に設定のあった縦長のサブドアを内蔵するバックドアを廃止した。狭い場所で開閉できて、3列目シートの左側を格納すると、バックドアのサブドアから乗り降りできた。先に述べたボディの側面から乗降できない時にも使える便利な装備だったが、「お客様から人気を得られなかった」という理由で廃止されている。

 WLTCモード燃費は、ヴォクシー&ノアでは2Lのノーマルエンジンが15.0~15.1km/Lだから、先代型に比べて燃料代を約10%節約できる。ハイブリッドは23.0~23.4km/Lで、先代型に比べると燃料代を15~17%減らせる。

 ここまでヴォクシー&ノアの燃費性能が向上した理由は、エンジンなどのメカニズムを刷新したからだ。ノーマルエンジンはハリアーなどが使うタイプに変わり、ハイブリッドは第5世代に切り替えられた。

 新型ヴォクシー&ノアはプラットフォームを刷新したが、その目的もこれらの新しいメカニズムを採用することだった。開発者は「従来のプラットフォームは設計が古く、新しいエンジンやハイブリッドを搭載できない。そこで新型では、プラットフォームなどを含めて、すべてを造り変えた」という。

 ステップワゴンの燃費は不明だが、エンジン、e:HEV(ハイブリッドシステム)、プラットフォームなどは先代型と基本的に共通だ。e:HEVも燃費を向上させて、4WDにも改善を加えるが、燃費についてはヴォクシー&ノアが優位になる可能性が高い。

 ヴォクシー&ノア/ステップワゴン/セレナなどのミニバンは、20年以上にわたり、日本のユーザーを見据えて進化してきた。そのためにミニバンの基本となる車内の広さや荷室の使い勝手は、相当に熟成されている。運転のしやすさを考えると、ボディの大幅な拡大はできない。そうなるとフルモデルチェンジを行っても、ミニバンの基本的な機能には差が生じない。

■ライバル社との選択の決め手は装備となるだろう

 新型ヴォクシー&ノアとライバル社は、価格も競争が激しいために拮抗している。

今後発売される新型ステップワゴンとセレナは、ヴォクシー&ノアを意識して若干割安に抑えるはずだが、大きな差額には至らないだろう。

 そうなるとユーザーは選ぶ時に迷う。そこで選択の決め手になるのが装備だ。特にミニバンは大切な家族を同乗させるから、安全装備は気になる。

ヴォクシー&ノアの安心降車アシスト、プロアクティブドライビングアシストなどは、選択理由のひとつになり得る。

 ミニバンでは、子供や高齢者も乗せるから、乗降性やシートアレンジの使い勝手も大切だ。ヴォクシー&ノアに割安な価格で設定されるユニバーサルステップ、フリーストップバックドアなどは、ミニバンのユーザーには魅力的な装備になり得る。

 就学年齢の子供がいる世帯では、日常的な出費が高まるので、燃費性能も大切だ。前述の通り、ヴォクシー&ノアはそこもしっかり押さえた。

 以上のようにヴォクシー&ノアは、1か月で1万台を超える膨大な販売実績に支えられ、トヨタらしいコストを費やした周到なクルマ造りを行っている。かつてのマークIIやコロナで見せた「トヨタらしさ」も息付いている。

 一方ステップワゴンも、シートの座り心地を改善して、e:HEVと4WDも進化させる。クルマの本質を押さえるが、ヴォクシー&ノアに比べると、安全性や使い勝手を向上させる装備のワザが足りないように思う。

新型ステップワゴン ホンダの国内販売の将来は新型ステップワゴンで決まるといっても大げさではないだろう
新型ステップワゴン ホンダの国内販売の将来は新型ステップワゴンで決まるといっても大げさではないだろう

 2021年1~12月の国内販売状況を見ると、新車として売られたホンダ車の33%がN-BOXで、軽自動車全体になると50%を超えた。そこにフィット、フリード、ヴェゼルを加えると84%に達する。

 ホンダのブランドイメージが「小さなクルマのメーカー」にダウンサイジングしてよいなら、ステップワゴンは今までの機能を踏襲して進化させても構わない。その代わり売れ行きは時間の経過に伴って下がっていくだろう。

 逆に、かつてのホンダのブランドイメージを取り戻して国内販売を整えたいなら、ミドルサイズ以上の最多販売車種になるステップワゴンは大切だ。細かな機能にまで工夫を凝らして売れ行きを伸ばせば「小さなクルマのメーカー」から離脱することも可能になる。

 ホンダの国内販売の将来は、新型ステップワゴンで決まるといっても大げさではない。頑張れステップワゴン、負けるなホンダ!

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