■「忠実に走ってくれる。これは想像以上に曲がるFFスポーツだ!」(桂 伸一)
興味は265のタイヤ幅だ。FR車だとしても極太のサイズをFFの前後に装着する新型タイプRはどんな挙動とコーナリング性能を示すのか!?
鈴鹿の第1〜第2、S字、ダンロップ登りとデグナーふたつ目などすべてのコーナーでアンダーステアが出ない! ……と言うと語弊はある。
アンダーはドライバーがオーバースピードでコーナーに進入するか、旋回加速でアクセルの踏み過ぎから起こすものだから、正確に言えば、仮にアンダーを出してもアクセルを戻す方向のコントロールで打ち消せる自由度が新型にはある。
さらにこのタイヤ幅とグリップ力、それを受け止めるボディ、サスと、もちろんタイヤも横剛性の高さからステア操作に驚くほど忠実で、狙った“以上に”曲がる。
狙った以上とは、コーナー進入でステア操作するタイミングは、走り慣れた過去の経験から速度と操作した時のグリップ力との兼ね合いで決まる。
操作して意図したとおりに曲がるか?
ココだろう、で切り込むと、切るタイミングとしてはまだ早く、だから曲がり過ぎる、と言う表現になる。
前輪のグリップ限界が高いからダイレクトに曲がり過ぎ、舵角を戻す修正操作になる。330ps/42.8kgmの過去最強チューンの2L直4ターボの動力性能も素晴らしい。
6MTは縦横ともショートストロークでスムーズに軽く、クイック操作でも確実に入る。
ダウンシフトはレブマッチが回転をジャストミート。ミスなく達人と同じ操作が叶う。
新型タイプRは従来のFFスポーツとは次元が違う速さを披露、ぜひご体感あれ。
●桂 伸一の採点表
・ハンドリング:10点
・加速性能:9点
・エンジンの気持ちよさ:8点
・シフトフィール:10点
・乗り心地:9点(+Rは7点)
・コストパフォーマンス:9点
(TEXT/桂 伸一)
■「旧型と新型で大違い! 走りのすべてに余裕がある」(橋本洋平)
旧型リミテッドエディションの先導走行での試乗となった新型シビック・タイプR。おかげでどこが進化しているかがよく理解できた。
旧型がフラつきながらコーナーへとアプローチするのに対し、新型はフル制動からのターンインなどでのリアの安定感がとにかく高く、一方で旋回加速時にも確実なトラクションを生み出し、どの領域でも旧型を追い詰めて行く。
縁石に乗り上げたり、路面が荒れているとリアが跳ねるところがあるが、フラットな路面であればハンドリングは文句ない。
ラインの自由度からストレートスピードまで文句なし!
いつでもどこでも先導車を追い抜くことができそうな雰囲気だ。
「ひょっとして手を抜いている?」1回目の走行を終えた後に先導ドライバーの武藤英紀選手にそう聞くと、「ギリギリ一杯ですよ(笑)」とのこと。
プロが本気で走ったとしても引き離せない。それほどに新型の性能は引き上げられたのだ。
また、懸念材料だった熱ダレに関しても問題がなく、ずっとスリップストリーム状態でガンガン走ってもフェールセーフが入るようなことはなかった。
さらにブレーキに関しても旧型初期モデルではジャダーが出ることが多かったが、最後まで問題なく走れたことはさすが。
フロントバンパー開口部を大きく取り、ボンネットのエア抜きにも配慮した結果が出ている。
これならユーザーもサーキットで何も気にすることなく楽しめるだろう。これで旧型リミテッドエディションに比べて約50万円安いとは……。
エンジンも爽快でパワフルだし、かなり頑張った一台だと思う。
●橋本洋平の採点表
・ハンドリング:10点
・加速性能:9点
・エンジンの気持ちよさ:10点
・シフトフィール:10点
・乗り心地:7点
・コストパフォーマンス:9点
(TEXT/橋本洋平)
●ホンダ シビックタイプR主要諸元
・全長:4595mm
・全幅:1890mm
・全高:1405mm
・ホイールベース:2735mm
・車重:1430kg
・エンジン:2L直4DOHCターボ
・最高出力:330ps/6500rpm
・最大トルク:42.8kgm/2600~4000rpm
・WLTCモード燃費:12.5km/L
・価格:499万7300円
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