新型スープラのいまわかってること 17年ぶりの復活の意図とは

■開発責任者 多田哲哉氏「営業の大反対を押し切った2シーター」

ベストカー2019年1月26日号にてスープラのチーフエンジニア、多田哲哉氏がスープラへの思いを語ってくれた。


プロジェクトのスタートは2012年5月。「BMWに行ってくれ」と言われて「スープラを作るんだな」と直感しました。

米国市場でスープラを復活させてほしいという声が大きかったのはよく知っていましたから。米国では映画『ワイルド・スピード』の影響で、スープラが神格化されているようなところがあるんですよ。

でも、スープラは直6エンジンのFRでなければならない。トヨタ単独では無理でもBMWと組めばできるわけで、これはそういうことだろうなと思ったわけです。

基本コンポーネントはBMW Z4と同じですが、開発チーム、特にテストドライバーは完全に分けていて、お互いにどんなクルマに仕上げるのか知らないまま開発は進みました。

クルマ作りの意識の違いなどもBMWとの開発では感じたという。妥協なく対等な関係で作りこんでいったスープラは、営業部門などからの反発も抑え込んで開発しているそうだ

例えばサスペンションの取り付け部などは同じでもチューニングはまったく違っていて、私もZ4には市販化されてから初めて乗ったくらいで、乗るとやはりスープラとはぜんぜん違うなと感じましたね。

BMWとの共同開発だけど、効率よく作ろうという意識はありませんでした。実を言うと、最初はそのつもりだったんだけど。

「共用化ありきで自分の好きなクルマを作れるのか?」とBMWに言われ、その意識を完全に捨てました。作りたいクルマを作り、そのあと共用できるものを探すという順番に変えたんです。

スポーツカーは「ドライバーを最後に裏切らない」のが大切です。アンダーステアが出てもステアリングの切り増しが効くクルマは安心で、それがすごく大事なんです。

そのためにボディのバランスなどは何回も作り直しました。

また、ドライバーにタイヤの四隅をしっかり感じてもらうためにはリアシートを置けなかった。だから営業部門からの大反対を押し切って2シーターとしたんです。

世界中の公道で目撃されているスープラのプロトタイプ。公道でテストをするからこそ得られるものが多くあるという

ほかにもスポーツカーとして必要なものを守るために、私の判断で割り切ったことはたくさんあります。燃費はいっさい気にせずパフォーマンスの向上だけに集中していますし、重量を増やすパーツはとことん削っています。

スープラはテスト走行の9割を一般公道で行っています。雪道も含めて一般道でどれだけ楽しめるかを最も重視して開発したんです。

いずれサーキット向けのモデルも用意したいとは思っていますが、まずは一般道で最高に楽しめるクルマであること。スープラの狙いはそこにあるんです。

【新型スープラ諸元表】

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