新型スープラのいまわかってること 17年ぶりの復活の意図とは

新型スープラのいまわかってること 17年ぶりの復活の意図とは

デトロイトモーターショーで2019年1月14日に新型スープラの市販バージョンがお披露目された。約17年ぶりとなるスープラ復活。

BMWとの提携でエンジンを共用するなど、生まれ変わった新生スープラの”すっぴん”姿は今回が初公開となる。

デトロイトで明らかになったスペック、そして気になる価格についてもベストカーの情報と、公式情報と合わせてお伝えします。最後の開発責任者の多田哲哉氏のインタビューもお見逃しなく!!

文:ベストカーWeb編集部/写真:奥隅圭之、トヨタ


■”スープラ”に込めた豊田社長の強い思い

スープラは「A90」と名乗り世界中でカムフラージュされたテストカーを露出させ、かなり大掛かりなPRを続けてきた。

トヨタのスポーツカーイメージをけん引してきたスープラだけに、その動向については世界が注目していたともいえる。

2018年12月にはメディア向けに国内でプロトタイプ試乗会を実施。

ベストカーWebで試乗した荒聖治選手は、ボディ剛性の高さ、ブレーキやエンジンの完成度の高さを評価しつつも、ピーキーな特性を持ったマシンという総評をしていた。

それから約一カ月が経過した2019年1月14日のデトロイトショーにおいて、いよいよ市販バージョンのスープラが登場となった。

カンファレンスでトヨタの豊田章男社長はこう語った。

デトロイトショーで豊田章男社長自らが思いを語ったスープラのワールドプレミア。社長の右後ろにはかつてニュルブルクリンクでスープラの開発に携わり、そして豊田社長の運転の師であるトヨタの「トップガン」故・成瀬弘さんの写真もあった

ずいぶん昔ですが……私はマスタードライバーになるための運転訓練で、中古のスープラと、数えきれない程多くの時間を過ごしました。

他のメーカーが美しく新しいプロトタイプで走行しているなか、私に向けられた視線や冷やかしは、想像できるでしょう。

私は、スヌーピーに出てくるチャリーブラウンのクリスマスツリーの様に、何の飾りっけのないクルマを走らせていたわけです。

スープラは素晴らしいクルマでしたが、でも、やっぱりね……。

ですから、トヨタは新しいスープラをつくる計画はありませんでしたが、世界中の多くの熱狂的なスープラファンの皆さんと同様、私は密かに、このクルマを復活させたい、と願っていました」

「スープラ」への思いの強さはきっと人一倍強かったであろう豊田社長。80スープラのように現代でもまた誇りに思えるスープラを作りたいという思いが伝わってくる。

報道解禁されたカムフラージュなしのスープラ。想像していたとおりではあるが、サイドの曲線などはより艶めかしく見える

この記事では2018年12月に国内で事前撮影をしたスープラの詳細写真と、今回のデトロイトで明らかになったスペック、そして開発責任者の多田哲哉氏のインタビューを紹介する。

■3Lモデルは500万円台から登場か!?

デトロイトで明らかになったことは既報のとおり、3Lの直6エンジンのグレードに加えて、2Lの直4グレードが追加されるということ。

そしてグレードは3LがRZ、2LがSZ-RとSZになる。80スープラと同じグレード名だ。うーん、なんだか感慨深い。

RZは340ps、51.0kgm/1600~4500rpmを誇る。もちろんカタログ上は史上最強のパワーユニットを持つスープラだ。

BMW謹製の珠玉の直6エンジン。シルキーシックスをトヨタに搭載する時代が来るとは感慨深いものがある。ボンネットキャッチャーもダブルだ

SZ-RとSZは排気量は同じものの、エンジンチューニングが異なり258ps(SZ-R)と197ps(SZ)となる。車両重量はRZが1520kg、SZ-Rが1450kg、SZが1410kgと最大110kgの重量差がある。

ボディサイズは小さく全長4380×全幅1865×全高1295mm(RZ)。86/BRZなどとサイズ感に大きな差はなくいかにスープラがコンパクトになったかがわかる。

0-100km/h加速は3Lモデルが4.1秒、SZ-Rが5.2秒、SZ6.5秒となっている。全体的に驚くべき瞬足というわけではないが、スープラという名に恥じないパワーを身に着けている。

シフトノブやペダルなど随所にBMWの面影が残る。もちろん仕上げはZ4とは異なるが、80スープラのインテリアのようなオリジナリティは薄い印象

気になる日本での販売価格はまだ公開されていないものの、アメリカ市場(2019年夏から発売開始)での価格は発表された。

北米での3Lモデルは4万9990ドルから5万3990ドルとなっており、約543万円から約586万円(2019年1月15日現在)の価格帯になる。

マッシブな印象のリア周り。可変LSDなど最新の電子制御を備えるが試乗会でレポートされた電子制御の粗さなどは市販型ではどう調整してくるのだろうか

かねてからBMW X4との部品共通化などを考慮すると、3Lは700万円近いとの話にもなっていたスープラだが、意外なほどにお得感の溢れる価格だ。

新型スープラは生産国のオーストリアから輸入することになり、日本での販売価格もほぼ同等になりそう。2Lモデルについては3Lモデルより80万円から100万円安いはずだ。

2019年春には日本発売との話もあるが、いよいよ17年ぶりに伝説が復活することになる。

次ページは : ■開発責任者 多田哲哉氏「営業の大反対を押し切った2シーター」

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