2023年4月14日、幕張メッセ(千葉県)で開幕した「オートモビルカウンシル 2023」にて、マツダMX-30 e-SKYACTIV R-EVが国内初公開された。この妙に長い車名のマツダ車は、ロータリーエンジンを発電専用に使うシリーズ式のプラグインハイブリッド(PHEV)だ。
文、写真/ベストカー編集部
■「どこかで次世代のロータリースポーツに挑戦してほしい」
今年(2023年)1月に開催されたブリュッセルモーターショーで姿を見せていたが、日本国内での公開はこれが初めて。外観はMX-30そのものだから、この車体の中にロータリーエンジンが搭載されているようには見えないが、「8C型」と呼ばれる1ローターエンジンが、発電機、モーターと一体になってフロントに置かれている。
RX-8が2012年に生産を終了し、それ以来マツダ(=世界中)の量産ロータリーエンジンはなかったのだから、実に11年ぶりの復活を果たしたことになる。
オートモービルカウンシルの会場にて、この車両の説明をした青山裕大(やすひろ)取締役専務執行役員は、「ロータリーエンジンにはまだまだ可能性があります。たくさんでなくても作り続けることが大事。マツダの全員がその思いと情熱を持っています」と力強く語った。
MX-30 e-SKYACTIV R-EVは170ps/260Nm(26.5kgm)のモーターを搭載する前輪駆動車。駆動用リチウムイオン電池の容量はMX-30 EVの約半分となる17.8kWhで、ロータリーエンジンの燃料タンクは50Lだ。EVモード、ノーマルモード、チャージモードの3種類の走行モードを選択でき、満充電時のEVモードでは電気だけで85km(欧州WLTPモード)を走行できる。
一方、8C型ロータリーエンジンは830cc、75ps/117Nm(11.9kgm)のスペックで、バッテリーを使い切った状態で常時発電していたとしたら、燃料消費率は7.6L/100km(13.2km/L)だという。
(編集部注/念のための補足で、このMX-30 e-SKYACTIV R-EVの駆動力はすべてモーターがまかなう。ロータリーエンジンは完全に発電専用で、モーターとバッテリーへ電力を供給するためだけに回る)
これだけ聞くと「燃費イマイチじゃない?」と思うかもしれないが、満充電であれば85km(カタログ値)はEV で走れるのだから、普段使いでガソリンを使うことはかなり少なそうだ。そのうえ50Lのタンク容量があるのだから、航続距離は相当長いと思われる。これは魅力。
ちなみにこの8C 型は、直噴化などの新技術の採用により、従来の13B型に対し最大で25%の燃費効率を実現しているという。動力性能に関しては、欧州仕様では最高速140km/h、0〜100km/h加速9.1秒と公表している。
今回披露されたのは欧州仕様だが、もちろん、日本でも販売される。なぜかその時期はベールに包まれており、担当者に聞いても「適切な時期に発売しますとしか今は言えないんです〜」と答えるのみ。年内には登場しそうだが、適切な時期が不明なので、よくわかりません。
いったいどんな走りを見せてくれるのか、興味と期待が膨らむMX-30 e-SKYACTIV R-EVだが、長くロータリーエンジンの開発に携わり、FC型〜FD型RX-7の開発主査を務めた小早川隆治氏の姿を会場で見かけたので、感想を伺った。
「ロータリーの復活は素直に嬉しい。個人的には水素燃料でもハイブリッドでもいいから、どこかで次世代のロータリースポーツに挑戦してほしいと思うし、その価値はあるとも思います。チャレンジはしているのでしょうが、そういうことを前向きにアナウンスすることが大事なのではないでしょうか。でも、多くの人がロータリーエンジンはもうダメだろうと思っている中で、“絶対に諦めない”というメッセージをくれたのはとても嬉しい。今日は、それが聞きたくてここに来たのです」
ミスターRX-7も復活を祝福。MX-30 e-SKYACTIV R-EVが上手くいけば、次はスポーツカーの可能性もある。とにかくロータリーエンジンが復活したという事実が何より素晴らしい!
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コメント
コメントの使い方どんな形であれ、最新型のロータリーエンジンが発売されたのは素晴らしいこと。
水素REなどの可能性も秘めていますので、開発を続けていける土壌が大事ですね。