毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。
時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。
しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。
訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はダイハツ テリオスキッド(1998-2012)をご紹介します。
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文:伊達軍曹/写真:DAIHATSU
■軽の新規格対応車として登場 抜群の走破性能
軽自動車が新規格に移行した1998年10月に登場し、決して爆発的にヒットしたわけではないのですが、2012年6月までの14年間、息長く販売され続けた5ドアの軽SUV。それがダイハツ テリオスキッドです。
テリオスキッドは、同時進行で開発されたダイハツ テリオス(こちらは1.3Lエンジンを搭載する登録車)の軽自動車バージョン。
基本的にはフルタイム4WDですが「センターデフロック機構」が付いており、その悪路走破性能は「なんちゃってクロスオーバー四駆」のそれをはるかに上回っていました。
クラス唯一の5ドアであったボディの構造は、モノコックにラダーフレームを溶接した「ビルトインラダーフレーム式」という強固なタイプ。
オフロードでの走破性を重視した大径ホイールを採用し、下まわりのクリアランスも充分に採られていたことなどから考えると、テリオスキッドの本質は今で言う軽クロスオーバーSUVではなく、どちらかと言えばジムニーやパジェロミニに近い本格派だったと言えます。
しかし本格悪路の世界でのイメージリーダーであるジムニーやパジェロミニに正面からぶつかってもビジネス面での勝ち目はなさそう……ということで、テリオスキッドは「クロスオーバーSUVっぽいイメージ」で売り出されたのです。
搭載エンジンは、前述のビルトインラダーフレームで重くなった車重をカバーするため自然吸気エンジンはラインナップされず、全車がターボ付きに。
ベーシックな「CL」はインタークーラーなしの直3ターボ(最高出力60ps)、車高を20mm落としてエアロパーツなども装着した「エアロダウン」はインタークーラー付きの直3ターボ(最高出力64ps)を搭載しました。
ただし2006年8月のマイナーチェンジで、エンジンは64psのインタークーラー付きに一本化されました。
駆動方式は当初4WDのみでしたが、2000年には2WD(FF)を追加。その後もさまざまな一部改良やグレード追加、あるいはマイナーチェンジを行いながら、テリオスキッドは前述のとおり2012年6月までの14年間、細々とではありますが多くのユーザーに愛され続けました。
しかしさまざまな意味での「寄る年波」にはさすがに勝てず、2012年6月には販売終了。その後、「2代目テリオスキッド」は今のところ登場していません。
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