【2021年11月から全ての国産新型車に義務付け!】 自動ブレーキ義務化で何が変わる?

■義務化で今後何が起こる? オススメの衝突被害軽減ブレーキ搭載車の基準は?

(TEXT/西村直人)

 執筆時点の最新統計によれば、2017年の1年間に日本で販売された乗用車のうち衝突被害軽減ブレーキの装着車は73.6%(大型車/48.2%)と高い。すでにここまで普及しているのだ。

 ちなみに同期間のACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)装着車は53.3%、車線中央を維持するLKAS(レーン・キープ・アシスト・システム)は29.6%

 衝突被害軽減ブレーキの義務化はあらゆる面に相乗効果をもたらすと考えます。その筆頭は事故件数の実質的な抑制だろう。

 2018年2~11月末時点で日本において発生した交通事故は39万471件。それに対し2019年1月~11月末時点では34万5651件と、数そのものはいまだに多いが4万4820件(11.5%)も減っている。

 また、負傷者の数も2018年→2019年の同期間では47万6878人→41万8718人(87.8%)とこちらの減少幅も大きい。

 普及率と統計数値からみても事故抑制要因のひとつに衝突被害軽減ブレーキをはじめとした先進安全技術の貢献があるのは明らか。

 さらに義務化となれば例えば現存する商用車における衝突被害軽減ブレーキのレスオプション仕様が選べなくなるから、全方位で取りこぼしが最小限に近づいていく。

認定基準を満たした衝突被害軽減ブレーキであればいいわけではない。夜間の歩行者に対応した機能など、より高性能な衝突被害軽減ブレーキが望ましい

 続く相乗効果は社会的損失度の低下だ。例えば、事故で壊れた車両の修理費や人身事故にまつわる保険金の支払額が減っていく。

 一般的に人身事故では、治療や休業補償など保険会社の支払い額が高額になるが、将来的にはこれが減額する。どういうことか?

 衝突被害軽減ブレーキの本来の目的として、事故そのものが防げなかったにしても衝突が避けられない場合に介入する自律自動ブレーキの速度低減効果により事故発生時の衝突エネルギーが少なくなるため、双方のダメージが少なくなる。

 よって修理期間や治療・休業期間が短縮され保険金の支払い総額が減少、その分、社会的損失度は減って最終的には被保険者が支払う保険料が安くなるのではないか。

 すでに衝突被害軽減ブレーキ搭載車で一定の基準を満たしていれば保険料が9%割引(ASV割引)になるが、その割合が増えることも予想できる。

 では、義務化の国内基準を満たした衝突被害軽減ブレーキ搭載車であれば、どれでも、どんな時でも安心できるのか? 答えはNO!

 確かに義務化によって介入すべき自律自動ブレーキの性能は可視化されたが、担保されるのはあくまでも厳格に定められた試験環境での結果であって実際の交通環境ではないからだ。

 そのためこの先も〝衝突被害軽減ブレーキがついていれば安心〟ではありません。過信は禁物。

自動車アセスメント(JNCAP)による試験の様子

 私が現時点でお薦めする衝突被害軽減ブレーキ搭載車の基準は以下3つ。

❶システムが危険を知らせる警報ブザーやディスプレイ表示がわかりやすいこと。
❷どんな体躯でも急ブレーキが踏みやすい運転姿勢がとれるよう調整機構が充実していること。
❸夜間の歩行者にまで対応していること。

 国産車では、カローラシリーズ、RAV4、クラウン、レクサスLS、インサイト、マツダ6、マツダ3、CX-30、フォレスターなどが該当します。

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