ヘッドライトやグリルはクルマの顔を決定づける重要なパーツで、個性的なクルマは数多く存在している。
日本でも丸灯ヘッドライトの間に小さなランプを埋め込むデザインが流行ったが、個性的なフロントマスクを持ったクルマの中で、独立タイプの灯火を備えたクルマにスポットを当てていく。
丸灯、角灯、異形といろいろあるが、シングルの丸灯は癒し系だったり、どことなくファニーなイメージも与えるが、独立タイプの複眼タイプだと個性がいっそう強調され、一度見たら忘れないインパクトを持っている。
文:永田恵一/写真:ALFA ROMEO、LANCIA、FIAT、HONDA、SMART、TOYOTA、NISSAN、FERRARI
【画像ギャラリー】独立丸灯のリアコンビランプで個性を主張したクルマたち
アルファ159スポーツセダン/スポーツワゴン:丸6灯
販売期間:2005~2012年
アルファロメオは丸4灯ヘッドランプを好んで採用していたが、独立タイプの複眼タイプのヘッドランプもお得意としている。
1989年にデビューしたSZ、1992年に追加されたオープンのRZはともに片側に角型ヘッドライトが3連した超個性的な顔が印象的だった。
片側3連という点では、2005年にデビューした159セダン/スポーツワゴンも強烈だ。SZと違い、159シリーズは片側に3連丸灯仕様となっている。2連丸灯のクルマはけっこうあるが、3連は超レアケースと言える。
おまけにフロントバンパー下部にも丸型のフォグランプが装着されているので、片側に丸灯が4つも存在している。
アルファロメオは伝統の盾グリルが猛禽類のクチバシのように見えるが、159シリーズは猛禽類ぶりがエスカレートして、独特の威圧感がある。
ランチアハイエナ:角+丸6灯
販売期間:1992~1993年
ランチアハイエナは、ランチアとザガートのコラボによって誕生した。プラットフォームはランチアデルタインテグラーレエボルツィオーネを使い、ザガートオリジナルのボディが与えられた。
1992年にデビューし、ザガートの75周年を記念して75台が限定販売される予定だったが、その数を作ることができず、25台程度が世に送り出されたのみと言われている。
ある意味幻のランチアと言っていいこのクルマ、車名のハイエナという名前からしてもタダ者じゃない感がアリアリ。
片側角2連+角灯のヘッドランプデザインにより死肉をむさぼると言われるハイエナの名前に負けない不気味さを醸し出している。
フィアットムルティプラ:上下丸4灯
販売期間:1998~2010年
クルマのデザインは好みがわかれるが、変わったデザイン、醜いクルマ特集などで必ず登場するのがフィアットムルティプラ。
1998年にデビューするや否や、その特異なエクステリアデザインというよりもフロントマスクに話題が集中。
フォグランプを合わせて縦に3つの丸灯が独立して配置されているのは圧巻。こういうデザインにしようという発想がイタリアンなのか?
真ん中の通常のクルマと同じところに位置しているのがロービームで、ハイビームは段差がつけられたAピラーの付け根に位置するのが大胆過ぎる。ちなみにバンパーに埋め込まれるのはフォグランプとなっている。
真ん中のロービームだけ見ると、小さい目を開けたかわいいイルカの顔を彷彿とさせるが、フロントマスクトータルで見ると凄いとしか言えない。
このムルティプラは、フロント3×リア3の独立タイプシートを備えるなど、マルチパーパスビークルとして使い勝手は抜群で、日本でも一部熱狂的なファンがいた。
しかし、2004年にマイチェンを受け、どうしちゃったの? と聞きたくなるくらい地味なフロントマスクになって存在感を失ってしまった。
日本では三菱ディンゴが奇抜な縦目ヘッドライトからおとなしい異形ヘッドランプに変更して個性を失ったのと同じで、残念さを禁じ得ない。
醜い醜いというから『整形』したら何で変えた? と言われても……、ねぇ。
コメント
コメントの使い方