世界を代表するタイヤメーカー、ミシュランタイヤが9月2日に発表した最新オールシーズンタイヤ『クロスクライメート3』と『クロスクライメート3 SPORT』。“雪でも走れる夏タイヤ”をコンセプトとするクロスクライメートは、オールシーズンタイヤとしては異例な、ハンドリング性能のよさをアピール。はたしてどんなタイヤなのか?
文:梅木智晴(ベストカー編集委員)/写真:ミシュランジャパン、ベストカー編集部
ヨーロッパのタイヤメーカーが提案するオールシーズンタイヤとは?
最近耳にする機会が増えてきた「オールシーズンタイヤ」。雪道などのスノーコンディションにも対応するタイヤで、その名の通り1年中使用できるタイヤなのだが、各タイヤメーカーによってその狙いと言うかスタンスには違いがある。
欧州を代表するタイヤメーカーで、世界的にも乗用車用タイヤのトップシェアを占めるミシュランタイヤが送り込む「クロスクライメート」は、“雪でも走れる夏タイヤ”がキーワード。2015年に欧州で最初のモデルが市販を開始し、2019年には日本でも「クロスクライメート+」の名称で販売を開始。2021年には2代目となる『クロスクロスメート2』へと進化するとともに、SUV用へと特化した『クロスクライメートSUV』へと進化した。
そして今年9月2日に発表された最新モデルが『クロスクライメート3』と『クロスクライメート3 SPORT』なのである。
ハンドリング性能が自慢のオールシーズンタイヤ!
特に注目したいのが『クロスクライメート3 SPORT』。「SPORT」と謳うだけあって、オールシーズンタイヤなのにハンドリング性能の高さをアピールする。言わば“雪が降っても走れるスポーツタイヤ”ということだ。これはちょっと珍しいコンセプトだ。
トレッドパターンはオールシーズンタイヤ定番のV字シェイプを採用しながら、センターに周方向のミゾを追加した。これにより高速走行時の排水性能が格段に向上。さらに専用開発されたトレッドコンパウンドによりドライのみならず、スノー、ウェットでのコンタクトグリップを高めているという。
これらにより『クロスクライメート3 SPORT』は販売される27サイズすべてで転がり抵抗ラベリング「A」、ウェットラベリング「a」を獲得。高いウェット性能と低転がり性能(=燃費がいいタイヤ)の両立をタイヤラベリング制度が証明したことになる。
最新スポーツタイヤの技術を惜しみなく投入
新開発されたトレッドコンパウンドやトレッドデザインのポテンシャルを最大限に発揮するために重要なのが「トレッド構造材」。『クロスクライメート3 SOPRT』 には、ミシュランのプレミアムスポーツタイヤシリーズ「パイロットスポーツ」に採用される“ダイナミックレスポンステクノロジー”を投入しているのがポイント。
これはトレッド面の下を支える構造材なのだが、強靭なアラミド繊維とナイロンを組み合わせたキャッププライとすることで、大きなトラクションや制動力、あるいは転舵時の捩じり力が加わった際のトレッド面の捩れや歪みを最小限に抑え、シャープな反応と安定したグリップ力を発揮するのだ。ちなみに速度レンジは300km/hに対応する「Y」。これもオールシーズンタイヤとしては異例の性能だ。
「さすがにサーキット走行までは想定していませんが、例えばGR86やBMW4シリーズのようなスポーティカーで山道を安全に、そしてキビキビと気持ちよく走れるタイヤです」と、製品開発本部の池田聡氏は説明する。



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