海外のショーのなかでも毎年注目を集めるのが1月にラスベガスで開催されている電子機器の見本市、CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)。
モーターショーのように一般公開はされていないが、世界最先端の技術が披露されるということもあり自動車メーカーの参加も多い。そんなCESに自動車評論家 鈴木直也氏が乗り込んだ!
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※本稿は2020年1月のものです
文:鈴木直也/写真:ベストカー編集部、TOYOTA、SONY、BYTON
初出:『ベストカー』 2020年2月26日号
■ついに街作りに乗り出した! 「Woven City」はトヨタの野望?
世界最大のハイテク見本市として有名なのが、毎年正月にラスベガスで開催されるCES。今年最大の目玉はなんといってもトヨタの「コネクテッドシティ構想」だった。
静岡県裾野市に広がる旧関東自工東富士工場の跡地約70万平米に、2,000人規模の人が暮らす街を建設するというその計画。
予告なしのサプライズ発表だったため、「トヨタが街づくりに乗り出す!?」というニュースに世界が驚いた。
“Woven City(ウォブン・シティ)”と名づけられたこの実験都市は、もちろんトヨタが造るのだからただの分譲住宅というわけではない。
構想動画を見ればわかるとおり、構内を無人のe-Paletteや小型電動モビリティが走り回り、すべての機器がネットワークで繋がって有機的なサービスを提供する……。まさに、未来のクルマ社会のショーケースとなるハイテク実験施設がその実体だ。
自動運転やコネクテッド機能をテストするための実験施設は、トヨタも以前から保有しているが、そこはあくまでハードウェアをテストする場所。
MaaS※1に代表されるサービスの実証実験を行うには、普通の人が実際に暮らす街で試す必要がある。
“Woven City(ウォブン・シティ)”の初期住民は、おそらくトヨタの技術者や研究者などを中心とした、いわゆる“関係者”の人たち。
新しいCASE※2やMaaSの技術やサービスを試すには、これ以上適した環境はない。
口先だけで、いくらCASEやMaaSといっても全然ピンとこないけれど、普通の人が実際に暮らす街で現実に新しいサービスが始まったとしたら、その説得力はケタ違い。
こういった環境に触発されることで、新しいアイディアがどんどん湧いてくることも期待される。
■ソニー「VISION-S」の素晴らしい出来に驚いた!
トヨタの発表に続いて、もうひとつサプライズだったのがソニーのEVプロトタイプ出展だった。
これまで、CESにおける新しいEVの出展といえば、新興スタートアップ企業が中心。ソニーのような老舗家電メーカーがここまで本格的なEVを持ち込むとは予想外で、プレスカンファレンスは大いに盛り上がった。
ところが、“VISION-S”と名付けられたこのソニー製EV、量産車といってもおかしくないほど完成度が高いのに、現時点では市販の可能性ゼロ。
担当役員の川西泉氏によると、開発の目的は「クルマの進化に対する貢献」だという。
どういうことかというと、ソニーが得意とするセンサーやディスプレイなどで、自動運転や車載エンターテイメント機能を進化させるということらしい。
実は、最近のソニーの業績を牽引しているのは、CMOSセンサーなどのデバイス類。
トヨタ・セーフティセンス2用にソニー製センサーが採用されたことでもわかるとおり、実力は評価されている。
“VISION-S”の製作にあたっては、車体構造のマグナをはじめ、ボッシュ、コンチネンタル、ZFなどおなじみの欧州系メガサプライヤーが協力しているが、ソニー製センサーの優秀さを広く世界中のサプライヤーに向けてアピールする効果も狙っているようだ。
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