3ローターエンジン
初搭載車:ユーノスコスモ(1990年登場)
ロータリーエンジンは世界でマツダだけが実用化した夢のエンジンだった。市販用ロータリーエンジンは昭和の時代までローターを2つつなげた2ローターターボが最大で、3ローターの市販化はマツダの夢でもあった。
その3ローターエンジンを世界で初めて搭載したのが、当時のマツダのフラッグシップとして1990年に登場したラグジュアリークーペのユーノスコスモだ。
3ローターエンジンは特にピストンエンジンのクランクシャフトにあたるエキセントリックシャフトの加工に高い技術が要求されるなど、技術レベルは非常に高く、文字どおりモーターのような静かさとスムースさを備えていた。
ユーノスコスモの搭載された3ローターエンジンは、当時はパワーウォーズの真っただ中だったこともあり3ローター+ツインターボで280馬力を達成。
しかしユーノスコスモの3ローターターボは大小2つのターボチャージャーを持ち低回転域では小さいほうを使いターボラグを減少させ、中回転域以降では2つのターボチャージャーを使いパワーを出すというシーケンシャルツインターボだった。
しかしユーノスコスモはAT車のみだったこともありターボラグは隠しきれず、高級車らしかぬ乗用域でのギクシャク感に悩まされた。
さらに当時はただでさえ燃費の悪かったロータリーエンジンを3ローター化し、そこにターボを加えただけに燃費は極悪で、「3ローターのユーノスコスモで全開加速をすると燃料計が下がるのが目に見える」という都市伝説のような話もまんざらではなかったようだ。
これが3ローターのターボではなくNAだったら2つの問題点はだいぶ違ったのかもしれない。
しかし3ローターのNAだとしたら最高出力は3L、NA級の230馬力あたりと想像され、時代を考えるとインパクトが弱く、開発されなかったのもわからなくはない。
UM-4
初搭載車:ホンダZ(1998年登場)
軽自動車の規格が現在のものになり軽自動車がほぼいっせいにフルモデルチェンジされた1998年、ホンダはUM-4と呼ぶ革新的なレイアウトを乗用車にSUV的な要素をミックスした、今でいうクロスオーバーとして復活したZに初採用した。
UM-4は「アンダーフロア・ミッドシップ・4WD」の略で、具体的には後席下にエンジンを縦に置いたミッドシップベースの4WDである。
UM-4は僅かながら荷物も積めるエンジンのないフロントノーズをクラッシャブルゾーンとして使えることで軽自動車ながら高い衝突安全性を持つことや室内長の長さによる広い室内の確保、ミッドシップレイアウトによるシャープなハンドリングといった特徴を持っていた。
しかしその反面でUM-4はフロアの高さや汎用性の乏しさを含めたコストの高さ、劣悪な整備性といったデメリットのほうが目立つのもありZと軽1BOXカーのバモスにしか使われず、歴史を閉じてしまった。
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