マツダの主力モデル「CX-3」が、2020年5月18日に商品改良を発表、予約受付を開始している。
そんなCX-3だが、2019年に入ってからは商品改良を加えたにもかかわらず、その販売状況は芳しいとは言えない状況が続いていた。さらに2019年9月にCX-30が登場したことで、その状況に拍車をかけていた。
このままではモデル廃止もあるのでは? とささやかれる状況で行われた5月の改良で、そんな苦境に変化があったことが判明した。流通ジャーナリストの遠藤徹氏が、現場取材で入手したCX-3の最新事情をお届けする。
文/遠藤徹
写真/MAZDA
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■モデル廃止の危機を脱出! CX-30との差別化で活路を開く
「CX-30」の登場でモデル廃止を取り沙汰された「CX-3」だったが、2020年5月23日に実施した1.5Lガソリン車の追加などの商品改良を受けて、継続販売されることが明らかになった。
この1.5Lモデルは上級グレードの2Lガソリンや1.8Lクリーンディーゼル車に比べると、装備を軽くしているが、定価は50万円以上も安い。個人ユーザーの街乗り、あるいはレンタカーとして使うのを想定して設定したモデルであり、売れ行きについてはこれから真価が問われる立ち上がりとなっている。
モデル自体は2015年2月27日から発売であるから、2022年春あたりが世代交代期になるので、今回の改良は現行シリーズでは最終変更になりそうだ。
CX-3は発売当初、1.5Lクリーンディーゼルの専用モデルで発売開始し、その後2Lガソリン車を加え、2018年5月17日の一部改良ではディーゼルを1.5Lから1.8Lに排気量アップした。
2019年9月20日に発売されたCX-30は、2Lガソリン、1.8Lディーゼル、それに新開発の「スカイアクティブX」(2020年1月10日発売)を搭載した。
CX-3とは、2Lガソリンと1.8Lディーゼルが重なることから、CX-30はCX-3の後継ではないかとの憶測が流れたこともあり、CX-3の販売はCX-30に吸い取られるように激減した。
今回、CX-3に廉価の1.5Lガソリン車を設定したのは「CX-30は好調に売れているが、半面スカイアクティブXの設定もあり、価格が跳ね上がり、そのことで安いCX-3が再び売れ出す動きにもつながった。これを知ったメーカーのマツダがCX-3の改良でさらに廉価な1.5Lガソリン車を設定して売り出し、CX-3のモデル廃止説を打ち消すことになった」(首都圏マツダ店営業担当者)といった状況になっている。
ただ実情を分析すると、CX-3とCX-30はもともとクラスの違うモデルといえる。プラットフォームで見るとCX-3はコンパクトハッチバック車の「マツダ2」をベースに仕立てており、CX-30はその上のミディアムクラスである「マツダ3」がベースになっている。
次期型に引き継ぐのはマツダ2が2021年秋、CX-3は2022年中盤が予想される。売りのひとつとなるパワーユニットは1.5Lの「スカイアクティブX」である。CX-30とマツダ3に搭載している同ユニットは2L 直列4気筒であるから、これを3気筒化すれば1.5LのスカイアクティブXが比較的低コストで開発できるとの計算である。
そのためには、現行CX-3の最終バージョンをある程度販売で盛り上げておく必要がある。今現在のCX-3は1.5Lの追加設定でユーザーからの引き合いは比較的多くなっている。ただ、現物そのものはまだ傘下のマツダ店に十分に出回っているわけではない。
2L、1.8Lディーゼルも含めて展示用、試乗用のデモカーが少しずつデリバリーされている程度である。見積書の作成を依頼すると、どのグレードも2020年7月末生産で、納期は8月上旬と約2カ月待ちとなっている。
「15S ツーリング(2WD)」の車両本体価格は199万1000円で、「20S プロアクティブ Sパッケージ(2WD)」の248万6000円に比べると49万5000円安い。この装備差はエンジン排気量のほか、ステアリングのスイッチパネル加飾、ヒーター、シフトスイッチ、シートが運転席パワーシート、タイヤサイズ、安全面はスマートブレーキサポート&レーダークルーズコントロール、アダクティブ・LEDヘッドライト、LEDフォグランプなどであり、街乗りではそれほど支障がない違いともいえる。
この50万円の価格差をどう考えるかで選び方が変わってくるといえるだろう。
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