スバルとマツダの車作りは『個性的だからこそ真似できない』
そこで最も重要な戦略は、容易に真似のできない個性的な車作りだと思う。市場主義経済では、おいしいビジネスにはすぐ新規参入者が現われる。
かつて日本のお家芸だった半導体や液晶テレビは、製造装置が標準化したことでアッという間に日用品(コモディティ)化した。これを見て、経済紙は車が電動化すると差別化が難しくなってコモディティ化する、と書く。
だからこそ、目指すべきはユニークなエンジニアリング。標準化とは程遠い個性的な技術を車作りの中核としているメーカーにこそ生き残るチャンスがある。
スバルはいうまでもなく水平対向エンジンとシンメトリカルAWD。マツダはSKYACTIVコンセプトに基づくエンジン&シャシーや、人馬一体と表現される走りの楽しさ。
こういう個性的な車作りは必ずしも合理的ではないし、コスト的にも高くつく場合がある。また、技術開発のハードルが高く、失敗のリスクもつきまとう。
しかし、だからこそ真似をされにくいワケだし、参入障壁が高いってことを忘れちゃいけない。
合理性ばかりを追求した無難なエンジニアリングは、早晩必ず追いつかれる。コストや合理性だけを考えていたら水平対向エンジンなんて絶対作らないだろうし、無難な目標を設定してエンジンを開発していたら、圧縮比14.0のSKYACTIV-Gなんて生まれるはずがない。
こういうぶっ飛んだエンジニアリングは、そのメーカーの社風のなかに創造性を大切にする空気、もっとぶっちゃけて言えば無駄や遊び心を許容する雰囲気がないと、なかなか生まれてこない。
畢竟(ひっきょう)、ブランドというのは物語で、人を感動させる物語には理屈で割り切れない不条理が必須。
スバルとマツダは、いつまでもユニークな車作りを忘れないでほしいなぁ。
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