トヨタや日産ほど規模は大きくない。それでも、“車好きの琴線に触れる”という意味で、この2社を上回る国産メーカーはない。
スバルとマツダ。ともに個性的な車作りが身上で共通する部分も多い両社の勢力図は、直近の国内販売台数でスバルがマツダを上回るなど微妙に変化の兆しも見える。
EVの普及が連日報じられ、車のあり方が変わりそうななか、“中小メーカー”であるスバルとマツダはどんな車作りをしていくべきなのか?
文:鈴木直也/写真:編集部
ベストカー2017年8月10日号
過渡期だからこそ中小メーカーに求められる車
最近、経済紙などで報じられる自動車関連のニュースといえば、車が車でなくなるというネタが多い。
20~30年というスパンで見ればEVやFCVが普及していないハズはないし、自動運転もレベル3程度なら、今のACC(=先行者追従機能を持つクルコン)並みにみんなが使っていると思う。都会ではカーシェアリングが普及して、車を所有するメリットがどんどん希薄化することも不可避だろう。
だが、こういう新しいトレンドに、スバルやマツダのような小さな会社が過剰に反応するのは考えものだ。
EVにせよ自動運転にせよ、新しい技術が「実用化する」のと「広く普及する」のはまったく別物、その間にはめちゃめちゃ深い谷が存在する。
電動化パワーユニットが主流となる未来に向けて、内燃機関とどういう風に使い分けられてゆくのか。自動運転に向けてどんなインフラの整備が必要か。
そして、そういった未来の車が商業的に成り立つのか。果たして、人類は本当に化石燃料依存から脱却できるのか。
こういうテーマはあまりに壮大すぎて、スバルやマツダクラスの自動車メーカーの手に余る。というか、トヨタやVWですら、一社単独でできることはかぎられている。
だったら、中小メーカーは車の原点に立ち返って、オーソドックスな車の価値観を大事にした車作りを目指すべきじゃないの? ボクはそう思う。
『個性的でいい車』の需要は衰えない
よく、「20世紀、人類は車に恋をした」と表現されるが、おそらく少なくとも先進国では今世紀中にその恋は醒めるだろう。
けど、あと100年経ったって車に熱狂する人々はゴマンといるだろうし、新興国では「冗談言うな、俺たちの恋はこれからだ」という声だって多数派だ。
つまり、経済紙が描く薄っぺらい未来とは別に、従来どおりの価値観でいい車と、評価される車の需要はまったく衰えないということ。
年産100万台前後のニッチメーカーは、そこでどうやって自らの個性を光らせてゆくか、そこをジックリ考えるべきなのだ。
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