弱点1:高すぎる価格
プラグインハイブリッド車は、ハイブリッド車よりも20~30%価格が高い。RAV4 PHVはハイブリッドに対して約110万円のアップ、プリウスPHVはプリウスに対して約75万円のアップ、アウトランダーPHEVは約76万円のアップとなる。
その要因はもちろん、駆動用バッテリーやPHV専用パワートレインにある。
リチウムイオンバッテリーの価格が大崩落でもしない限り、この価格差は埋まることはない。ハイブリッド車とは決して埋まらない価格の高さは、プラグインハイブリッド車の大きな弱点だ。
弱点2:ヘビーな車両重量
そして、重すぎる車両重量も弱点だ。RAV4 PHVはハイブリッドに対して210kgアップ、プリウスPHVはプリウスに対して160kgアップ、アウトランダーPHEVは280kg、と、プラグインハイブリッド車となったことで、とんでもなく重量が増えている。
マクロな視点で環境保全を考えれば、軽い車重のクルマに、エネルギー効率のいいパワートレインを組み合わせるほうが適していることは、物理の初歩を学んだ方であればおわかりのはず。
評論家の中には、バッテリーを低い位置に置くことで低重心になりハンドリングに優れ、かつ大容量バッテリー車になるほど重量感のある乗り心地となるのでいい、という方もいる。
それも間違ってはいないが、「クルマは軽量であること」に勝るものはない。
重量級ボディを支えるために、車体やサスペンションを強化して、戦車のように重たくなったボディを、電気の力でグイグイと走らせるのが環境にいいとは、筆者は到底思えない。
そのため、どのメーカーも、重たくなってしまった車重を隠すよう、EV航続距離の長さや加速のよさといった「パフォーマンス」をアピールしているだろう。
本来の環境保全の考え方とは矛盾していることを、取り上げるメーカーはない。「最新のエコカー」であるプラインハイブリッドの存在を、否定しかねないからだ。
下記の表に、現在日本で販売中の国産プラグインハイブリッド車と、そのベースとなったモデルのスペックを載せたので、参照してほしい。
弱点3:インフラの不足
筆者は、元EVオーナーだ。電力がないと死活問題となるフルEVで、やっとの思いでたどり着いたパーキングエリアの充電器。しかしフルEVだけでなく、プラグインハイブリッド車も列をなしている光景を何度も見かけた。
プラグインハイブリッド車は無理して電力充電せずとも、移動ができるのだが、「いざというときのために備えておきたい」といった日本人の特性もあるのだろう。
当時は「プラグインハイブリッドは電気じゃなくても走れるじゃないか」とも思ったものだが、しかし問題はそこではなく、圧倒的に充電設備が足りていないことにある。
東名高速下り線の海老名SAのように、4基の急速充電器が設置されている場所もあるが、これは特異な例。普通は、1カ所に2基あれば多いほうで、一般道にある設備だと、夜間は使用できないとか、定休日があるなど、いまだに足りていないという印象だ。
プラグインハイブリッド車が国内で普及するためには、こうした充電設備のより一層の充実はもとより、充電速度が速い設備へ更新をすることが必要であり、そのためには、クルマ側にも急速充電時のバッテリー加熱を防ぐ温度調整機能などが、必要となる。
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