世界初の量産電気自動車としてこの世に生を受けた、三菱i-MiEV。しかし今、そのi-MiEVに今年度内で生産が終了するとの不穏な噂が流れている。
三菱からそのようなアナウンスは10月15日現在、一切出ていない。しかし、それを否定するような動きも見られず、不安は募るいっぽうだ。
ベストカー編集部とi-MiEVは、実はけっこう縁が深い。2009年には社有車として導入し、充電スポットを経由しながら、往復1日ドライブでどこまで行けるかなど、いろんな企画で使った。
そのドライブ企画自体はなかなかの苦行だったわけだが、苦労を共にしたi-MiEVに、特別な感情が湧かなかったと言えば嘘になる。
社有車としての使命を見事にまっとうして社を去り、2018年にそれまでの軽規格から登録車となって以降は、なかなか乗る機会も減ってしまったが、ベストカー編集部員の心の片隅には常にi-MiEVが存在しているのだ。
繰り返すが今年度内の生産終了は確定情報ではない。だが、もし事実であるならば、ベストカー編集部として何かをせねばなるない。この企画はそんな思いから誕生した。
2006年にターボモデルのみで登場したi-MiEVのベースモデル「i」を含め、その存在を振り返り、再評価する。
この企画でi-MiEV人気再上昇&生産終了説がフッ飛べば、大成功だ。いざ、愛を込めて振り返る。
【画像ギャラリー】幻のコンセプトモデルからOEMまで!! i&i-MiEVの軌跡をギャラリーで辿る!!!
※本稿は2020年10月のものです
文/片岡英明、国沢光宏、ベストカー編集部、写真/三菱、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年11月26日号
■i&i-MiEVとの思い出から、存在意義を探っていく
●乗った人を笑顔にするクルマ(片岡英明)
三菱i-MiEVのベースとなったiは2006年1月の発売だ。2010年春に発売されたi-MiEVもデザインは今も色あせていないし、EVのメカだって古臭く感じない。
世界初の量産EVで、すごいことをたくさんやっていたが、その偉大さに日本人は気がつかなかった。
発売前の2008年6月、スバルR1eを連れだって洞爺湖サミットの会場まで、CO2排出ゼロをアピールするデモランを行ったのはいい思い出だ。
子どもたちを隣に乗せてサーキットを走ったこともあるが、走行後は全員が満面の笑みだった。
ボクがEVにのめり込んだのは、i-MiEVがあったからこそ!!
●乗って衝撃、思い出たくさん(国沢光宏の場合)
私が電気自動車を高く評価するようになったのはi-MiEVのおかげと言ってよい。舘内端さんが主宰する日本EVクラブのイベントで、2008年6月に量産試作車のi-MiEVを使い東京から洞爺湖まで走ったのだった。
それまでは遊園地の乗り物とか、超高価な試作車しか乗ったことなかった電気自動車ながら、普通の乗用車とまったく同じ感覚で乗れることに衝撃を受けましたね!
その後も全日本EVレース選手権でハンドル握り優勝したりと、思い出たっくさん!
現行モデルは年度内にも生産中止ということのようだが、来年春には日産にバトンタッチされた軽自動車規格の電気自動車が出てきます。
●商売は理屈どおりにいかない(鈴木直也の場合)
三菱のi-MiEVが生産終了!? というニュースを聞き、せめて「世界初の量産EV」という称号だけはi-MiEVに捧げたいと思う、今日この頃です。
それにしても、i-MiEVの商品企画、理論的には100%正しかったよね?
「これからはEVの時代」。文句なしにOK。「電池のコストが下がらないうちは小型コミュータで行く」。これもOK。「エンジン車と車体を共用してコストダウン」。ますますOKです。
しかし、ビジネスとして最初にEVを成功させたのは、i-MiEVの真逆を行ったテスラ・モデルS。商売は理屈どおりに行かないという典型でしたね。
コメント
コメントの使い方