現行3シリーズをベースにした新型BMW M3が発表された。クルマ好きにとってBMW M3は特別な存在だ。
日本政府は「これからはEVの時代、世界に目を向ければ欧米も電動化に向かっています」という。まぁ半分は当たっているけど、言わせてもらえばじゃあなんでM3の新型を造るの? メルセデスだってAMGやめません。
先月、オンラインの発表会でBMWのクリスチャン・ヴィードマン代表取締役社長が挨拶で「M」と「i」モデルのより一層の充実を図る、と言っている。「i」はBMW社の電動化モデル。一方「M」はいわずと知れたハイパフォーマーだ。
ここで重要なことは2020年の販売は新型コロナの影響で約20%減となったものの、「M」シリーズの販売は2019年比で約7%伸びているというのだ。この数字はピュアガソリンモデルのMシリーズにまだまだ需要があることを示している。
ガソリンモデルの新車販売を禁止するなんて絵空事。そんな簡単にできるはずがありません。しかもあと10年とか15年後とは。電動化と内燃機関継続の両方の進化を模索するべき。
とまぁ最近の不満を書いてしまいましたが、話を戻して新型M3ですよ! どんな進化を見せたのか? 初代M3でレースを戦った筆者が歴代全モデルと合わせて解説します。
文/松田秀士 写真/BMW AG
【画像ギャラリー】初代から新型まで! BMW M3の歴代全モデルを写真で振り返る!!
■2020年に日本向けは消滅していたM3が新型で復活!
今や先代モデルとなったM3は、2020年にBMWジャパンのラインナップから姿を消していた。その代わりに2ドアクーペのM4が継続して販売されていたのだ。新型ではM4も同じように進化しているが、M3の日本ラインナップ復帰は喜ばしいことだ。
なんといってもM3はE30型の初代から歴史があるモデル。筆者自身E30・M3で3年間、当時のグループAレースを戦った経験を持つ。
歴代モデルに関してはこの後にピックアップすることにして、新型M3のエクステリア、かなり強烈なマスクだね。新型3シリーズ、4シリーズにはすでに試乗済みだが、特に4シリーズの新しいフロントデザインを踏襲してよりアグレッシブなキドニーグリルを採用。
まず新型M3にはコンペティションとコンペティショントラックパッケージの2種類のグレードが用意され2021年秋以降にはM3初となる4WDモデルのコンペティションxDriveが追加される予定だ。
FRのM3についに4WD!これはM5の進化を見れば充分に予想されたことだがどんなハンドリングなのか、今から楽しみである。
ではまずガソリンエンジンの進化だ。エンジンはこれまでと同じ直6のツインターボ。間違えてはいけないのは「ツイン・パワー・ターボ」と銘打つM340に搭載されるものは、同じ直6ユニットでもシングルターボであること。M3に搭載されるのはターボを2基搭載するツインターボそのものだ。
もちろんエンジンそのものもM3用のハイメカで高精度の直噴、ダブルVANOS、バルブトロニックなどBMWの環境テクノロジーを環境とパフォーマンスの両方にチューンナップしている。
ここで唯一ベースモデルをラインナップするM4を例に出そう。M4ベースモデルの出力は480ps/550Nm。先代モデルが431ps/550Nmだったから最大トルクはそのままにパワーアップしている。注目なのは最大出力の発生回転数。先代は431ps/7300rpmだったのに対し480ps/6250rpmと引き下げられている。
そしてもう一つ注目なのが最大トルクで先代は550Nm/1850~5500rpmだったものが新型では同じ550Nmでも2650~6130rpmへと引き上げられつつ、発生回転領域が高回転域まで広げられている。
数年前のポルトガルで開催された先代M3&M4の試乗会でサーキットを思う存分走ったが、このときは久々に復活した直6ツインターボの中速トルクの厚さに感激した。
しかし高回転域でのトルクの落ち込みも同時に実感したのだった。新型M4の最大トルク発生回転数高回転維持はこのような狙いがあるのではないかと予想する。
話を新型M3に戻すと、新型M3にはこのベースグレードは存在しない。「コンペティション」と「コンペティショントラックパッケージ」の2グレードだ。この2グレードに搭載されるエンジンは、さらにパワーアップし510ps/6250rpm:650Nm/2750~5500rpm。
おそらくブーストアップによるものだろうが最大トルク発生が630rpm下がっているが、それ以上のトルク落ち込みもベースグレードM4並みと考えられる。全開加速が楽しみになるね。
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