【レポート&提言5】タクシー&バス業界の苦難を車両電動化が救う
「当たり前だったものが、当たり前ではなくなる」とは、バスやタクシーといった旅客運送業界ではよく聞く話。
路線バスでは運転士が充分確保できないなか運行を続けることで、東京中心部ですら減便が目立ってきている。
またタクシーでは、数年前までは当たり前のように受け付けていた、“早朝予約”を運転士不足から手配ができないとして取りやめる事業者が目立つ。
その異常な状況に加え、新型コロナによる利用減が、バスやタクシー事業者の経営を圧迫している。
運転士不足だけでなく、運行コストを減らす目的で、さらに減便や休車が増える可能性も否定できない。
それゆえに車両電動化は、公共交通の利便性維持にも貢献するものともいえよう。
【レポート&提言6】やはり燃料電池バスより純電動バスへと動く…
バス事業者と燃料電池バスの間には今も「距離がある」と感じてしまう。
というのも、過去のCNG(圧縮天然ガス)バス導入失敗のトラウマがあると囁かれているからだ。
クリーンな排気ガスが魅力のCNGバス。それを1990年代後半、普及させようと動きだしたのだが、燃料供給インフラの整備を進めるなかでガススタンド維持の難しさや、CNGの高騰もありフェイドアウトとなった……。
今の燃料電池でもこの流れが再び起こるのではないかとされる。
事実、割高な水素燃料や使い勝手の悪い水素スタンドの現状に対して、業界から不満が出ていることを筆者は確認している。
【番外コラム】EVへ突っ走る国 中国。乗用車の最新EV&電動化はどうなっている?
世界的にも断トツで車両電動化が進んでいる中国だが、市街地の幹線道路では意外なほど一般乗用車のBEV(純電動車)を見かけることが少ない状況だ。
日本よりはるかに手厚い補助金などの購入優遇策を用意する中国だが、それだけでは政府が思い描くような普及はしないようだ。
ただし、路線バスやタクシー、カーシェア車両ではBEVが圧倒的に多い。
ちなみに台湾政府は、公共交通機関や役所などの公用車の電動化を優先的に実施。
まずは公共交通機関から車両電動化を進めたほうが効率がいいし、環境面での貢献も大きい。
台湾がそう示しているようだ。
【番外コラム2】旗色悪し!?日本メーカー公共交通機関車両の電動化の状況は!?
ハイブリッドまでで電動化が止まっている日本のバスメーカー関係者に、「純電動バスの開発への取り組みは?」と聞いたことがある。
すると、「アンタッチャブルと言える段階」といった返答があった。さらに、取り組みに消極的な理由を聞くと、「雇用や廃業問題になる」とのことであった。
ディーゼルエンジンに比べ、モーターと電池からなる純電動ユニットは部品点数が少ないので、廃業する業者や失業者が多くなるとのこと。
多方面で聞いてみると、“日の丸”と呼べる純日本製の純電動バスはまず期待できず、提携外資メーカーの技術を借りたとしても、日系純電動バスの登場までは時間を要することになりそうだ。
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