日産唯一のワゴン「AD」が一部改良 古豪の存在意義と今後は?


小型商用ワゴンの「替えが利かない」根強いニーズ

 そこで改めて長距離移動に適した小型の商用車を考えると、選択肢が意外に乏しいことに気付く。トヨタ ハイエースと日産 キャラバンは長距離の移動を含めて定番の商用車だが、4ナンバー車では最大級の大きさになる。そうなると軽商用車を除いた小型の商用車は選択肢が限られる。

 トヨタにはタウンエースバンがあるが、全幅は1665mmと狭めで全高は1930mmに達するから、ボディの縦横比は軽商用車に近い。走行安定性では不利になる。

 しかも販売店では「タウンエースバンはインドネシア製だから納期が半年近くになる」という。商用車の場合、経営状態の変化に応じて即座に購入したい場合もあるため、納期が半年も要すると現実的に購入しにくい。従って売れ行きも低調だ。

助手席の背面には助手席シートバックパソコンテーブル、USB電源ソケットや、真っ平らな荷室など、仕事で使いやすいように配慮した室内になっている

 このように見ると、ADやプロボックスといったワゴンスタイルのコンパクトなバンは、根強いニーズに支えられている。シエンタやフリードのようなコンパクトミニバンを仕事に使う場合もあるが、ADやプロボックスの真っ平らになる荷室は荷物を収納しやすい。

 また、ADバンでは助手席の背面がテーブルになってノートパソコンを置けたり、前席の中央にはビジネスバッグが収まる。USB電源ソケットの配置なども含めて、仕事で使いやすいように配慮した。移動するオフィスの機能も含めて、ADやプロボックスには独特の実用性が備わる。

ファミリアバンもトヨタに鞍替え! 物流支えるADの今後は?

マツダファミリアバンは、以前日産からOEM供給されていたが、2017年の業務資本提携を締結以降、トヨタから供給されるようになった(全長4245×全幅1690×全高1525mm※FF/1530mm※4WD)

 従って今後もワゴンスタイルのバンは必要とされるが、問題は販売規模だ。プロボックスは今ではトヨタの全店(4600店舗/日産やホンダの2倍以上)が扱い、前述の通りマツダにはファミリアバンの名称で供給されている。

 以前のファミリアバンは、日産が供給するAD/ADエキスパートの姉妹車だったが、2017年にマツダとトヨタが業務資本提携を結ぶとプロボックスのOEM車に切り替わった。

 現行ADは生産を終えた乗用車のウイングロードと同じボディを使うから、開発費用などの収支を合わせやすいが、次期型は難しい。

 今はワゴン市場が縮小したからウイングロードの後継は開発されない。ADを単独で開発するのは、販売規模を考えると困難だ。現行型を可能な限り存続させ、日産ではワゴンスタイルのバンはADと共に終了するかも知れない。

 その一方で、ノートをベースにした3列シート車が登場する可能性が指摘されている。シエンタやフリードのようなコンパクトな3列シート車だ。全高の数値、床面形状にもよるが、これをアレンジしてADの後継にすることも考えられる。

 ウイングロードをベースにADを開発したのと同じ手法だ。安全な物流を支えるためにも、ADやプロボックスは、今後も継続してほしい。

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