キャデラック。デカい、おおらか…といったイメージだが、2021年1月に登場した初のコンパクトSUV「XT4」は違う。扱いやすいサイズは日本ユーザー待望といってもいい。本気を感じる。
自動車評論家 国沢光宏氏の評価はどうだろうか。4月に行われた試乗の様子をお伝えする。
●キャデラックXT4価格
・プレミアム:570万円
・プラチナム:670万円
・スポーツ:640万円
※本稿は2021年4月のものです
文/国沢光宏 写真/GMジャパン、ベストカー編集部 撮影/平野 陽
初出:『ベストカー』 2021年5月26日号
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■扱いやすいサイズのアメリカン・ナイスガイ
我が国の輸入車市場で最も人気のあるジャンルとなっているのが、DセグメントSUVといってよかろう。
ボルボXC60を筆頭にBMWならX3、ベンツGLC、そして輸入車を意識したレクサスNX等々。価格帯でいえば500万~700万円といったイメージ。
ひと昔前なら3シリーズやCクラス、アウディA4といったポジションなんだと思う。全長4600mm程度。全幅こそ1900mmに近いけれど、日本の道路事情で何とかなる最大限のサイズ。
ちなみに私も全幅1900mmのXC60を持っているけれど、道路狭くて駐車場事情が悪いといわれる東京都内でストレスなく乗れます。
そんな人気ジャンルを見て「ウチもいいクルマ、持ってますよ」と考えたのだろう。
キャデラックが新鋭の『XT4』を投入してきたのだった。
■最大の特徴は「アメリカ車であること」
最大の特徴は「アメリカ車であること」だと思う。一般的に評価が低いアメリカ車ながら、魅力的な部分だってたくさん持っている。
何より私自身、アメリカ車を好む。アメリカに行った時に借りるレンタカーはアメリカ車です。
何がいいかといえば、すべての点でおおらかなこと。エンジンは低い回転域から豊かなトルクを出し、4~5時間の連続走行しても疲れない乗り心地を持つ。オーディオだってアメリカンポップスを鳴らせば最高に気持ちいい。
私以上の年代だとキャデラックというブランドに「いいね!」をしたくなるだろう。
若い世代からすれば、珍しいブランドなので新鮮らしい。「このクルマ何?」と聞かれたら、語ることだって山ほどあるだろう。なんたって大統領専用車で有名ですから。
長い前置きになった。試乗といきましょう。ハンドル左。私としちゃポジティブ評価。
今や左ハンドルというだけで“特殊なクルマ”感が出る。左側から乗ろうとした人に「運転する?」という突っ込み、ムカシよくやったもの。
シートやインテリアの雰囲気は日本車でもなく欧州車でもないという微妙な感じ。
最近のキャデラック、機能美を追求しているんだと思う。液晶画面は少し小さい。プッシュボタンで新設計となるロングストローク型2L、4気筒ターボに火が入る。
電動化もヘチマもナスもないパワーユニットで、ATは9速トルコン。Dレンジをセレクトして走り出すと、キャデラックCT5の試乗レポートでも書いたとおり極上&滑らかなシフトアップをしていく。
絶対的な性能は230ps/35.6kgmということで、3L NAエンジンをイメージしていただければ間違いなし。
ちなみにボルボXC60の2L 4気筒は250ps/35.6kgm。BMW X3が184ps/30.5kgmなので、その中間くらい。けっこう元気よく走ります。
足回りはレクサスNXと似ている感じ。XC60やX3といった欧州勢と比べたらストローク感が足りない。悪いかといえばそんなこともなく中庸。「普通」です。オーディオはキャデラックの伝統で華やかに鳴る。好み。
4WDシステムだけれど、走り出しや滑りやすいところで後輪に駆動力を伝えるものの、通常前輪100%。後輪0%とのこと。
日本人の感覚だと物足りないが、燃費など考えたらベストかもしれない。そんなXT4が気に入れば、ぜひどうぞ!
●キャデラックXT4 スポーツ主要諸元
・全長×全幅×全高:4605×1875×1625mm
・ホイールベース:2775mm
・車両重量:1760kg
・エンジン:1997cc 直4DOHCターボ
・最高出力:230ps/5000rpm
・最大トルク:35.6kgm/1500~4000rpm
・トランスミッション:9速AT
・価格:640万円
・推し度:60
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