■新型Cクラスは意識的にSクラスに寄せてきた?
ニューCクラスのデザインはベストセリングカーの宿命から、キープコンセプトにならざるを得ないのは当然である。しかし、新旧モデルを並べてみるとその違いは明らかである。とくに長く低くなったボディはキャビン・バックワード(客室が後退した)の後輪駆動モデル独特のシルエットが強調されている。
また個々のデザインエレメントではLEDヘッドライト、リアLEDコンビライトがシャープな形状になっている。さらにこれまで2種類あったグリルはスリーポイテッドスターが中央にあるタイプに統一され、全体的にスポーティでエレガントなたたずまいになった。
メルセデス・ベンツの社長、オーラ・ケレニウスは「アルファベットではCとSの間には大きな開きがあるけれども、我々のモデルでは可能な限りその間隔を狭めました!」と言うように、エクステリアデザインはどこかSクラスを思わせるところはあった。
しかし、それ以上に似ていたのはインテリアでドライバーの正面に10.25インチ(オプションでは12.3インチ)、そしてセンターコンソールには9.5インチ(オプション11.9)のタッチスクリーンがレイアウトされている。
ただしSクラスとは違って、ほとんどがドライバーズカーのCクラスでは中央画面は6度運転席側に傾いている。使用材質や仕上げ感もほとんどSクラスと言えるほど上質だ。もちろんアップデートはOTA(オーバー・ジ・エア)で行われる。
65mm長くなったボディと25mm延長されたホイールベース、そして低くなったルーフにもかかわらずキャビンには肘回りに余裕が生まれている。とくにリア空間は膝部分をはじめ、全体的にゆったりしている。
そこに貢献しているのはヘッドレストの背面構造で、左右両側の厚さを薄くした形状にしたことで後席乗員の視覚的な圧迫感が少なくなっている。
■ガソリンエンジン車はすべて4気筒+48Vマイルドハイブリットシステム搭載となる
試乗した「C200」に搭載されているエンジンは1.5L 4気筒(M254)で最高出力204馬力、最大トルク300Nmを発生するが、48Vのマイルドハイブリッドシステムで20馬力と200Nmのブーストが加わる。
組み合わされるのは9速ATで、ダイナミック性能は0-100km/hが7.3秒、最高速度は246km/hに達する。ちなみにニューCクラスでは6気筒モデルはキャンセルされ、トップモデルは2Lで258馬力を発生するC300となる。
しかし48Vのブースト効果もあってC200は軽快にスタートする。9速ATは非常にスムースで、ゆっくりとスロットルを踏み込むとショックを感じさせずにシフトアップしておよそ80km/hで静かにクルージングに入る。
また100km/h付近でスロットルを緩めるとエンジンストップの状態でコースティングを開始する。最大で2.5度までの舵角を持つリア操舵は高速では安定したハンドリング、そして街中では従来よりも43cm短くなったターニングサークルで取り回しを楽にする。
一方、メルセデス・ベンツの開発センターに向かうワインディングロードでは驚くほど敏捷なハンドリングを見せてくれた。ニューCクラスでは、もうひとつキャンセルされた装備にエアサスペンションがあるが、フル乗車でトランク満載のような場合は別として通常のドライブではスチールバネで役不足は感じなかった。
満載のADAS(ドライバーズ・アシスト)のなかでAR機能付きのヘッドアップディスプレイは前方に30インチの情報画像が浮遊しているような感覚で非常に見やすく、かつ正面を見ているだけで脇見も防止する。
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