東京2020オリンピック競技大会が開催された週の7月19日(月)より、首都高速道路(首都高)では、多くの人々が移動する時間帯においてマイカーの料金が1000円上乗せとなった。また、一部の道路では五輪専用レーンも設置され、一般車通行禁止などの規制も実施されている。
常日頃、マイカーで首都高を利用している層からすれば、「無観客で人の流れや交通量も減っているはずなのに、そんなことする必要はあるのか?」と疑問に感じるのは当然だろう。
そこで本稿では、これら交通規制の意味と効果について、自動車評論家にして交通ジャーナリスト、首都高に造詣が深い清水草一氏が解説する。
文/清水草一 写真/kurosuke-Stock-Adobe.com、フォッケウルフ
■開会式当日の新国立周辺はゴーストタウン化!?
東京オリンピックは、連日、日本勢のメダルラッシュに沸いている。あれだけ開催反対の声が満ち満ちていたのがウソのようだ。
が、首都圏での競技はすべて無観客。一方で厳しい交通規制は予定通り行われ、首都高でもマイカーは料金を1000円上乗せされている。さらに開会式・閉会式当日は、会場周辺の一般道や首都高の都心部で大規模な通行止めも実施される。
私は開会式当日、新国立競技場周辺の交通規制を取材したが、青山通りをはじめとする周辺道路は、予定通り一般車通行禁止となっていた。では当日、新国立競技場にどれだけの人が入ったかと言えば、選手が6500人、その他関係者を合計して約1万人だったという。
結果、新国立競技場周辺の道路は、車道はもちろん、歩道すらゴーストタウン状態になった。開会式の雰囲気を味わおうという人々が、会場周辺で密になっていて感染リスク大! との報道もあったが、密になっていたのはほんの一角で、人数も1000人程度だったように見えた。
新国立の隣の神宮球場が満員になれば4万人入るが、今回の開会式はそのわずか4分の1だ。神宮球場でヤクルト戦が行われる時、交通規制など皆無なのは言うまでもなく、わずか1万人を守るために、これほどの交通規制が必要なのかと思うのは当然である。
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