■第2部 オーナー&レーシングドライバーが語る! 初代86/BRZへの思い
●自動車評論家 永田 恵一氏(初代86所有)
GRヤリスを買ったこともあり、最近出番の減っていた私の前期型86だが、4月後半になって長距離を含め何度か引っ張り出してみたところ、「古さは否めないけど、魅力は色褪せていない」というのを再認識した。具体的に魅力を挙げていくと、
●低い着座位置、ノーマルマフラーでもそれなりに音量があるスポーツカーらしい雰囲気。この2点は法規という事情もあるにせよ、GRヤリスも「このくらいになるといいのに」と強く感じている。
●プラス2レベルだけど短時間の使用には充分使えるリアシート、自車のタイヤ4本を運べる積載性といった実用性。
●高速中心だと15km/L近く走る実用燃費のよさと、タイヤなどの消耗品も高くないこと。
●速くはないけど充分な動力性能、ほどほどのスポーツ走行までならほぼノーマルで対応可能な納得の完成度。もちろん多数流通しているアフターパーツによるカスタマイズも予算に応じて楽しめる。
まとめると、すべてが絶妙にバランスされていることが初代86&BRZ最大の魅力だ。そんなクルマだからこそ、氷上やクローズドコースでのドリフト練習なども楽しみながら、私のクルマとしては最長となる約5年半もほぼノーマルで乗っているのが、考えてみると自分のことながらよくわかる。
今後初代86&BRZに期待したいのはオーナーとしては矛盾もあるが、2台が買いやすい中古車になり、若い人に楽しんでほしいということ。
●スバル店セールス 田中 美里氏(初代BRZ所有)
東京スバル恵比寿店販売課に勤務する田中美里さんは現在、2019年式のBRZ(Sの6MT車)に乗る。
BRZの魅力を聞くと、「手前味噌ですが、スバルらしくクルマと一体感のある、自分の身体の一部のようなモデルです。よりパワフルなWRXよりもサイズもコンパクトで、2L NAエンジンもこのクルマには充分です。
人生初のマイカーでした。新型に乗り替える予定ですが、その前に『頭文字D』のコースをこのクルマですべて走破したいです!」
●レーシングドライバー 谷口 信輝氏
最も注目すべき点はこのクルマがトヨタとスバルが共同開発し、「どうぞアナタ色に染めてください」というスポーツカーを出してくれたことです。生まれて初めて新車で買ったのがこの86の最初期型でした。3年間ほど乗りましたが、ドリフトからタイムアタック、街乗りまで86のいいところも悪いところもすべて知り尽くしています。
ボクの86はみんながマネしたくなるような「さりげない大人のスポーツカー」がコンセプトで、86をいじる人たちの見本になることを意識していました。TRDのエアロにHKSのスーパーチャージャー(300ps仕様)をつけていたけど、街中走行で乗り心地もよく、その気になれば低速からパワーも出る。そんな楽しい86に仕立てて乗っていましたね。
昔のAE86の時もそうでしたが、中古車が出回るようにな、ってから注目を浴びたように初代86も今いじるにはいいと思いますよ。
●レーシングドライバー 山野 哲也氏
いや、よくぞこの世に出してくれたって感じのクルマですよ。ミニバンや5ドア系のモデルが主流となり、世の中の流れがエコに向かっているなかで、その流れに逆行するかのように専用の2ドアボディのFRスポーツを作ってくれたワケですから。
1社だけでもニューモデルを作るには社内でさまざまな部署が喧々囂囂にやり合って生まれてくるでしょ。トヨタ側がリーダーシップを取り、スバル側がシャシーとエンジンを担当するという棲み分けに苦労はあったでしょうが、愛知と群馬という企業風土の違う2社が共同してよく作ってくれたと思っています。
ボクは2012~2013年にスーパーGT300で初代BRZに乗りましたが、市販車もクルマ好きの期待を裏切らない走りを披露してくれました。S2000のように一代かぎりで終わってしまうスポーツモデルが多いなか、新型が登場したのもこの初代モデルの存在あればこそ、です。
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