■第3部 新型登場間近だからあえて狙う!! 初代86/BRZ中古車最前線
第5部でも紹介するが、現行86/BRZはカスタマイズやチューニングメニューが豊富な「遊べるクルマ」だ。そんな現行型の最新中古車事情を紹介しよう。
* * *
2021年4月5日に、日本仕様の新型86/BRZが公開。BRZが今夏、そして86はトヨタ86からGR86に変わり今秋に発表される予定だ。
クルマの世代交代にあたるフルモデルチェンジは、中古車相場に最も影響を与える要因のひとつだが、今回はまだ公開の段階。しかし、公開だけでもインパクト大で、初代86/BRZの中古車相場はビビッドに反応した。
まず86だが、新型発表前の2020年3月の流通台数は約1100台。そして現在もほぼ横這いの約1120台。しかし平均価格は3月の時点では約210万円で、現在は約205万円まで値落ち。3月が中古車最大の需要期であることを加味しても、需要期の影響を受けにくいスポーツカーにおいて1カ月で5万円の値落ちは新型公開の影響は確実だ。
一方、BRZの中古車の流通台数は1カ月前が約300台。そして現在は約330台と1割増加した。そして平均価格は約191万円から約188万円へと3万円の値落ちを記録。86より値落ち幅は小さいもののBRZの中古車相場も86同様に影響ありだ。
現在、初代86の中古車の価格帯は、95万~745万円くらい。一方初代BRZの価格帯は98万~500万円くらい。86のほうが最高値が高くなっているのは、14R-60やGRMNといった新車時価格が600万円を超える高額な限定車があるから。
一方、最安値に目を移すと100万円以下の中古車はAT車で、MT車は両車ともに130万円以上となっている。MTの中古スポーツカーの台数が減っていることを考えると、今後もMT車の中古86/BRZで100万円以下はそれほど出回らない可能性は大いにある。
86/BRZは2016年にマイナーチェンジを行っているが、中古車の流通台数が多いのはマイナーチェンジ前の前期型だ。狙い目は一部改良を行い、操縦安定性と乗り心地が向上した2014年式~2015年式あたり。
狙い目の年式でも86ならば約200台もあり、価格帯は118万~745万円。その半数は200万円以下だ。86/BRZの中古車を購入するのであれば、できれば100万円台でベース車を手に入れて、購入後物足りない部分に手を加えていくほうが楽しいはずだ。
新型GR86/BRZの開発に携わった人に少しだけ話を聞いたが、初代の回頭性のよさを活かすため、2.4L自然吸気エンジンを搭載したという。初代はパワー不足が言われていたが、この部分が改善されていることを考えると、期待が膨らむ。あと、エントリーグレードは300万円以下で発売してほしい。
★初代トヨタ86 ベストカー厳選中古車リスト
★初代スバルBRZ ベストカー厳選中古車リスト
(TEXT/萩原文博)
■第4部 期待と不安評論家5人が語る 新型86/BRZ発表後の率直な感想
うーん、現行型を買うのもアリだなぁ。でも、新型だって捨てきれない……とお悩みのアナタ。本企画の最後は、新型86/BRZに対する期待と不安について、発表後の率直な感想を自動車評論家5人に話を聞いた。新型と現行型、どこがポイントなのかが浮き彫りになったので、きっと購入前の参考になるはず。
●片岡英明の率直な感想
トヨタ86とスバルBRZは新しい心臓を手に入れた。これまでパンチがないと言われていたから、排気量を400ccアップし、実用域のトルクを増やしたのは嬉しい進化だ。しかも、オーバースクエア設計になったから、高回転のキレは鋭くなっているだろうし、伸びもよくなっているはず。
残念なのは、9年ぶりの新型なのにデザインの変化が少ないこと。エクステリアはジャガーやアストンマーチンほど優雅なルックスじゃないし、アルピーヌほどの色気もない。変革の時代に出すのだから、もう少し先を行ってほしかった。インテリアもナビの配置などに工夫がほしいよね。
●清水草一の率直な感想
まだ写真を見ただけだけど、一見してデザインがとっても保守的で、新しいトライが皆無なうえに、特に美しくもエモーショナルでもないのにはガックリしたなぁ。世界的にウルトラ希少な小型FRスポーツを、フルモデルチェンジしてくれただけでありがたいんだけど、見た瞬間に元気が出る感じじゃなかった。
中身に関しては、ターボじゃなく排気量アップに行ったのは、チューニングベース車両として落胆した人が多いだろう。乗ればたぶんいいと思うんだけど、「キターッ!」という感じは皆無だった。これしか道はなかったんだろうか。乗って考えたいです。
●岡本幸一郎の率直な感想
手頃な価格とサイズとパワーでFRであってくれさえすれば、それだけでもう充分に魅力的。写真で見たかぎりデザインはどちらもパッとしない印象だけど、アフターが頑張ってくれるはず。とにかくこういうクルマは貴重なので、よい“素材”さえ提供してくれれば、あとは自分でなんとかします。
初代の後期型は走りもかなりよい仕上がりだったので、その延長上で、さらによくなっていることにも期待しています。
大人2人と子ども2人が乗れて、それなりに走れそうなので、今の筆者にとってなんとか叶いそうなクルマ道楽として、実は次期愛車候補として、かなり気になっています。
●鈴木直也の率直な感想
安く作らなきゃいけないという制約のなか、現行型でもうちょっとだったところはエンジン。2LのNAはここ一発という時にトルクがでず、言うことを聞いてくれない。意図的に姿勢を作り出せないんです。トムスのスーチャーとか付けると凄くよくなります。300Nmあったら別物になると長年思っていました。
新型は2.4Lになってよかった。トルクは少し足りないかもしれないけど、バランスが取れそう。これならLSDをガッツリ利かせても意味がある。レヴォーグ的なガッチリとした剛性にしなやかな足が出せてたら、BMW風なスポーツクーペになってる可能性もある。楽しみです。
●永田恵一の率直な感想
次期86&BRZは2.4L化による動力性能の向上、熟成による各部の性能向上、ATのみながらアイサイトの搭載。キャリーオーバーのフルモデルチェンジということで新旧のパーツの互換性がありそうなど、特に初代オーナーなら望みどおりのクルマに仕上がっているのは確実だろう。
唯一不安なのは価格だ。初代並みという情報も流れているが、私はGRヤリスRSとの関係や、高そうなアルミルーフの採用なども総合すると300万円からと予想している。乗り換えにより初代の中古車が増えるためにも、次期86&BRZが私の予想が外れ初代並みの価格だったら嬉しい。
* * *
やはり注目点はパワー。物足りなければ旧型を安く買ってカスタムする……なんてやり方もよさそう。ああ、待ち遠しい。早く新型、発売してくれまってるぞ~!
コメント
コメントの使い方