ボディの大型化&大出力化でイメージも変化「AE100/101型」(1991年-1995年)
1991年にはAE100/101型が登場。このモデルでもトレノとレビンは共通シャシーを使用し、リトラクタブルライトが特徴だったトレノも、AE100/101型から固定式に変更された。先代モデルよりもホイールベースが延長され、あわせて全長、全幅ともに拡大。ボディもよりボリュームのあるデザインとなり、高級志向が強くなっている。
トレノ・レビンともにFFモデルなのは先代と同様で、大型化に応じてエンジンのパワーアップが図られている。1.6リッター自然吸気直4エンジンは1気筒あたり5バルブ(吸気:3/排気:2)化され、160psを叩き出した。これはスーパーチャージャー仕様の170psに迫るほど。
サスペンションのチューンも行われ、上級グレードのGT-Zにはセリカで採用された好評だったスーパーストラット・フロントサスペンションを標準装備。GT-APEXにもオプションで設定された。
開発時期がバブル景気の真っただ中ということもあり、大型化による高級路線へと舵を切ったAE100/101型だったが、先代よりも80kg重くなった車体では、かつての持ち味であった走りの軽快感が減少してしまったという意見もあり、先代や先々代モデルほどの人気を得られずに終わった。
最後のスプリンタートレノ&カローラレビンは原点回帰? 「AE110/111型」(1995年-2000年)
先代モデルの反省を踏まえ、1995年登場のAE110/111型では大幅な軽量化が実施された。多くのコンポーネンツはAE100/101型より引き継がれるものの、それらの構造や材質、ボディへの取り付け構造などを見直すことによって約70kgの減量に成功。先代譲りのパワフルなエンジンもあって、トレノ&レビン本来の魅力である軽快性を取り戻している。
AE110/111型よりスーパーチャージャーモデルは廃止され、エンジンは自然吸気式へと一本化。トップグレードに搭載する1.6リッターの5バルブ自然吸気エンジンは、改良によって165psにパワーアップしている。また、スーパーチャージャーの廃止にあわせて、トップグレードのモデルはBZ-Gに改められた。
エンジンのパワーアップと軽量化の効果で、AE100/101型よりも走行性能が向上したAE110/111型だったが、2000年代を迎えるころにはバブル崩壊の影響もあって、スポーツ志向の強いスペシャリティカーの人気は凋落傾向にあった。そのため、2000年のカローラフルモデルチェンジのタイミングでトレノ&レビンの生産は終了。28年の歴史に幕を閉じた。
伝説の名称が21世紀に復活! 「86(ZN6型)」「BRZ(ZC6型)」(2012年-2020年)
2012年、“ハチロク”の名称が意外なかたちで復活した。トヨタがスバルと共同開発したFRライトウェイトスポーツカーの名称を「86(ハチロク)」に決定したのだ。もちろんこのモデルはスプリンタートレノ&カローラレビンの系譜にあるものではなく、完全新規設計のプラットフォームを持っていた。
新生86は、プラットフォームこそ異なるものの、軽快な走りを披露するライトウェイトスポーツというコンセプトはAE86と共通であり、スバルお得意の2.0リッター水平対向エンジンをフロントミドシップに搭載。車幅はAE86より150mm広いが、全長と全高はほぼ同じであり、低重心設計とワイドトレッドが優れた走行安定性を発揮した。
スバルではこの86の兄弟モデルにあたる「BRZ」を販売。86とBRZの違いはトレノ&レビンより小さいほどで、このあたりもAE86の後継車を名のる資格がある。
洗練されたスタイルと走行性能の高さにより人気を集めた86&BRZは、BRZが2020年8月、86が2021年7月に生産を終了した。以降は後継車のGR86と2代目BRZにバトンが引き継がれることになる。
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