巨大な“出っ歯”にも重要な意味がある? ―チンスポイラー―
グランドエフェクトが発見されるまで、クルマの底部にはなるべく空気を流さないという考え方が主流だった。ボトムと路面の間を流れる空気の力で車体が押し上げられてしまい、不安定になるというのがその理由。
そのため、車体の最前部下側にスポイラーを装着し、空気を上方に跳ね上げることによって底部への流入を防ぎ、同時にフロントのダウンフォースを確保するという手法が発明された。これがチン(顎)スポイラー、またはリップ(唇)スポイラーと呼ばれるデバイスである。リアのスポイラー同様にチンスポイラーも比較的簡単に装着でき、さらに一定以上の効果が得られるため、登場するやいなや一気にメジャーなパーツとなった。
チンスポイラーを装着したロードカーは1960年代に登場。レースカーではチンスポイラーの大型化が進行するものの、グランドエフェクトの出現によって車体底部に積極的に空気を取り入れるという考えが主流になり、現代ではフロントフェンダーの両サイドに独立したスポイラー(カナード)を装着するスタイルがスタンダードになっている。
速度域の異なるレーシングカーとロードカーだが、テクノロジーが共有されるケースは多い。特に今回紹介した空力デバイスは応用もしやすく、今後も新たなレースカー由来の技術がロードカーに転用される可能性は高い。
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