「チルアウト」は、バッテリーEV生産の成功モデル
この発表直前の11月29日、日産は長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表している。簡単にいえば、「環境問題や社会課題、そしてユーザー好みの多様化に対応できる、真に持続可能な企業となることを目指す」もので、「今後5年間で2兆円の投資」という大計画だ。
「自社開発の全固体電池を2028年度に市場投入」という計画も発表している。またカーボンニュートラルのため、そして、日産のバッテリーEVを競争力の高い製品にするため、バッテリーEVの生産と調達の現地化を進めていくという。
この発表のなかで、日産は、クロスオーバーSUVコンセプトの「チルアウト」を発表。こちらもアリアの「CMF-EVプラットフォーム」を採用しており、生産はサンダーランド工場に行われる。バッテリーEVのメリット(室内の広さや設計の自由度)を強調したコンセプトカーなので、良し悪しは何とも言えない(率直に言えばカッコ悪いが)。ここでポイントとなるのが、「EV36ZERO」という、バッテリーのリサイクル・リユースを回す、日産独自の「バッテリーEV生産ハブ」の概念だ。
サンダーランド工場は、「初のバッテリーEV生産ハブ」として、車両生産やバッテリー製造、再生可能エネルギー活用など、カーボンニュートラルを実現していくという。バッテリーを2次利用するための施設を日本以外にも拡大し、2022年度には欧州、2025年度には米国に新たな施設を設立する予定だという。
これが実現すれば、バッテリーEVのデメリットのひとつでもある「LCA(Life Cycle Assessment)-CO2:生産工程から使用、廃棄までのすべての過程でのCO2排出」の削減に大きく貢献できる。「チルアウト」は、日産の今後のバッテリーEV成功のための方策が織り込まれたコンセプトカーなのだ。
バッテリーEVでは負けるな!!
「2030年までにグローバルで30車種の純EV車を発売、同年には350万台の純EVを販売する」と言い切ったトヨタほど、大きなことはいえないだろうが、バッテリーEVの市販化で、最も多くの成功と失敗を経験してきたメーカーは日産だ。「アリア・シングルシーター・コンセプト」で得た経験や、「チルアウト」でのバッテリーEV生産ハブの概念など、ぜひ実現させ、市販バッテリーEVをいち早く実現させた日産の底力をみせてほしい。
■余話:スカイラインの次期型には、ハイブリッド車が残るか!?
日産は、将来のINFINITI 車として、3台のコンセプトカーを発表している。詳細は不明だが、クロスオーバーSUV、2ドアクーペ、4ドアクーペのように見え、4ドアクーペが次期型Q50(日本名:スカイライン)、2ドアクーペが次期型Q60(昔のスカイラインクーペ)として登場するのではないか、と考えられる。
発表の中では、「INFINITIラインナップの大半を2030年までに電動車両に移行していく」こと、そして「お客様のライフスタイルに合わせて、クルマの動力源を選べるようにする」とも発言している。おそらくだが、2030年時点でも全車バッテリーEV化されることはなく、ハイブリッド車が残されるのではないか、と筆者は考えている。
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