2021年12月2日、日産は「アリア・シングルシーター・コンセプト」を発表した。アリアの高性能なパワートレインや4WD制御システムを、シングルシーター(1人乗り)レーシングカーのシャシーに搭載したコンセプトカーで、「未来の電動車両がパフォーマンスをより追求した場合、どのようなスタイリングになるかを考察したものだ」という。
市販化やレースへの参戦などの計画はないだろうが、日産の今後のバッテリーEVラインナップが楽しみになる発表だ。また日産は、ほぼ同じタイミングで「チルアウト」というコンセプトカーも発表している。この「アリア・シングルシーター・コンセプト」と「チルアウト」について紹介しつつ、市販バッテリーEVの先駆者である日産ラインナップの今後についても考察しよう。
文/吉川賢一
写真/NISSAN
アリアをモータースポーツのパッケージに仕立てた
ボディカラーや、フロントのV形状のLEDラインなどからもわかるように、アリアのデザインを踏襲しているという「アリア・シングルシーター・コンセプト」。カーボンファイバー性のボディ側面も、アリアの流れるように折り返すサーフェイスが再現されている。
全長が長いスタイルなのに、ドライバーの頭部がずいぶんと車両後方にあるので、前方は相当見づらいのではないか、とか、後輪のタイヤ交換はどうやってするのか、などと邪推してしまう部分もあるが、「アリア・シングルシーター・コンセプト」は、あくまでデザインスタディの一環だ。市販化や実車化はなく、eスポーツのレースゲームマシンとして登場する程度でとどまると思われる。
日産は、「フォーミュラEに参戦しているのは、レースをするためだけではありません。より魅力的な(バッテリー)EVの開発をサポートするためでもあります。」としており、今回のコンセプトカーも「(バッテリー)EVのさらなる可能性とワクワクする魅力を追求しています」とのこと。
フォーミュラEマシンのように規定にとらわれることなく、自由にデザインされたボディ形状は、最近の日産のコンセプトカーのなかでも、ダントツにカッコいい。単なるデザインスタディに終わることなく、ぜひともここで得た経験をもとに、レーシングカーだけでなく、バッテリー駆動の電動スーパーカー・スポーツカーにまで発展させてほしい、と考える。
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