■高いパフォーマンスを支える新機能たち
性能向上に合わせて、このほかにも改良や新技術が投入されている。例えば、ブレーキシステムは大径カーボンセラミックブレーキにアップデート。フロントには、アルミモノブロック6ポッドキャリパーを装着し、ストッピングパワーを強化。ブレーキシステムの変更は、バネ下重量を40.5㎏軽量にする効果も生んでいる。
駆動系では、新バージョンとなる電子制御式リミテッドスリップ リアデフ(e diff)を採用。強力なトルクをフルに生かすべく、ファイナルギアもローギアド化し、「3.27」に変更し、加速性を向上している。
快適性と運動性能を両立するエアサスペンションシステムは、ダンパーの仕様を変更。さらに4輪駆動システムにも専用チューニングを施すなど、各部を徹底した専用仕様化している。
■コックピットにも専用機能を投入
走行モードを切り替えられる「ダイナミックドライブモード」では、「GTスポーツ」と「スポーツ+」モードでレーススタート機能を追加し、これまでドライブモードの選択をタッチスクリーン上としていたものを、ショートカットが可能な専用スイッチをセンターコンソールに追加。
このほか、サスペンション、EPS、マニュアルモードもスイッチでの切り替えが可能だ。もちろん、細やかな設定は、タッチスクリーン上で行うことができる仕組みだ。
■好戦的ながら上品な内外装
基本的なデザインは、DBXと共通だが、しっかりと手が加えられている。DBXがフォーマルならば、DBX707はアバンギャルドと表現できるだろう。全体的により力強さを印象付けるデザインに仕上げられている。
フロントマスクは、フロントグリルとデイライトのデザインが変更され、フロントバンパーのアンダースポイラー形状も、より強調された。
サイドシルスポイラーにより、スポーツ性が強調されたサイドシルエットだが、リアスポイラーもリップスポイラーを追加し、シルエットに変化を与えている。後続車が追うことになるリアエンドは、専用エキゾーストが装備されたことで、よりアグレッシブな形状となり、空力のよさを感じさせる伸びやかさも加わっている。
インテリアでは、DBXの快適装備を受け継ぎながら、スポーツシートが標準となり、ハイパワーモデルの世界観を表現し、さらなるオプションでレーシーな雰囲気に仕上げにすることも可能。インテリアスイッチには、外観にも使われるダーククロム仕上げがスイッチ類に使用されている。
■迎え撃つライバルたちは……
DBX707の生産は、2022年第1四半期に開始され、デリバリー開始は第2四半期からを予定している。現時点で日本での価格は公表されていない。
現時点でDBX707とのライバルの関係だが、開発時にベンチマークとされたカイエンターボのなかで、最もパワフルな仕様である「カイエンターボS E-HYBRIDクーペ」が680psを発揮。
しかし、0-100km/h加速は3.8秒。最高速は295km/hに留まる。スペック自体は下になるが、カイエンターボGTは0-100km/h加速こそ、3.3秒と同等だが、最高速度は300km/hと及ばない。ランボルギーニウルスも、最高出力650psとなり、最高速度も惜しくも305km/hとなる。
このように、現時点では、まさに最強のSUVといえる存在なのだ。しかし、世界的な人気となる高級SUVだけに、他社が黙っているとも思えない。電動化時代前の最後の打ち上げ花火として、SUVパワーウォーズが巻き起こる可能性もある。それだけにアストンマーティンのアグレッシブな姿勢には、多くのクルマ好きセレブから、共感を集めそうだ。
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