BEVのSUVが補助金込みで399万円は激安!? ヒュンダイ改めヒョンデが12年ぶりに日本再上陸! 黒船となりえるか?

■見た目は特別なクルマには見えないけれど実はFCEVという特別なクルマ、NEXO

NEXOのボディサイズは全長4670×全幅1860×全高1640mm。FCスタックは129ps、電気モーターは163ps/395Nm。100%充電航続距離は820km
NEXOのボディサイズは全長4670×全幅1860×全高1640mm。FCスタックは129ps、電気モーターは163ps/395Nm。100%充電航続距離は820km
前方投影面積が大きいSUVにもかかわらずCd値0.32という非常に高い空力性能とそれを意識させないスタイリング
前方投影面積が大きいSUVにもかかわらずCd値0.32という非常に高い空力性能とそれを意識させないスタイリング

 現在国内において新車で入手可能なFCEVは、ホンダクラリティFUEL CELLが2021年9月に生産が終了しているので、トヨタMIRAIのみ。

 そのFCEV市場に、若い人が乗ってもあまり違和感のないデザインのSUVであるNEXOを携えてヒョンデが新たに参入した。NEXOは、日本で買うことのできるFCEVの新たな選択肢となるだろう。

 それも、通常のコンパクトカーやSUVと比べて高価なZEVをいきなり購入するのではなく、カーシェアで試してみて、それで気に入ったら買うというオプションまで用意される。

 あまりにもユニークなIONIQ5の後で見てしまうと、どうしても薄味に感じられてしまうNEXO。だがいかにも「水素電池自動車です!」というドヤ顔をあえてしない、控えめな上品さが愛らしい。

 このクルマのエクステリアのコンセプトは、川の流れで角を削られ丸くなった石、リバーストーン。ナチュラルで美しく滑らかなクルマを目指したという。

 フロントフード先端で左右のライトの間を一直線につなぐ、弓の弧のようなLEDポジションランプが特徴的。また内燃機関車のようなフロントのカスケード形状のグリルも目を引く。このクルマが水素タンクとFCシステム、駆動用モーターを内蔵しているとは想像しにくい流麗なスタイリングだ。

 FECVとしての性能は、水素タンク容量156.6L、5分の水素充填で820kmの走行が可能。当然排出物は水のみ。駆動用モーター出力は120kW/163ps、トルクは395Nm/40.3kgmとなっている。

 価格は776万8300円。令和3年度補正予算CEV補助金については外部給電機能がないため、210万5000円(給電機能なしの上限は225万円、給電機能ありの上限は250万円)となっており、これを引くと566万3300円。さらにエコカー減税約3万円、グリーン化特例約1万8500円が引かれるから、561万4800円となる。

※編集部註:2月7日時点。補助金の申請受付は2022年度末(2022年3月末)までに受付開始予定。IONIQ5のオーダー受付が始まる2022年5月、デリバリーが開始される7月時点で変わる可能性があります。詳細はお問い合わせください。

 ちなみに給電機能ありのトヨタMIRAI(735万~860万円)の補助金は140万3000円。

 IONIQ5と同様、同社Webサイトやアプリにおいて、5月よりオーダー受付開始、7月からデリバリーを予定している。

■日産アリアB6、トヨタbZ4X、スバルソルテラと真っ向勝負

IONIQ5のバッテリー総電力量は標準車が58kWh、VoyageとLounge、Loungeの4WDが72.6kWh。標準車は170ps/350Nm、VoyageとLoungeが217ps/350Nm、Loungeの4WDが305ps/605Nm
IONIQ5のバッテリー総電力量は標準車が58kWh、VoyageとLounge、Loungeの4WDが72.6kWh。標準車は170ps/350Nm、VoyageとLoungeが217ps/350Nm、Loungeの4WDが305ps/605Nm
2021年11月26日から予約受付が開始され、2022年3月下旬にデリバリーが開始予定のアリアB6(2WD)。価格は539万円。バッテリー総電力量は66kWh、最高出力は160kW/218ps、最大トルクは300Nm/30.6kgm
2021年11月26日から予約受付が開始され、2022年3月下旬にデリバリーが開始予定のアリアB6(2WD)。価格は539万円。バッテリー総電力量は66kWh、最高出力は160kW/218ps、最大トルクは300Nm/30.6kgm
2022年年央に正式発表予定のトヨタのスバルが共同開発したBEV、トヨタbZ4X。FWDモデルはフロントモーター150kW(204ps)、システム最大出力150kW(204ps)、4WDモデルはフロントモーター80kW(109ps)、リアモーター80kW(109ps)、システム最大出力160kW(217ps)。航続距離(WLTP)はFWDが460km前後、4WDが500km前後と発表されている
2022年年央に正式発表予定のトヨタのスバルが共同開発したBEV、トヨタbZ4X。FWDモデルはフロントモーター150kW(204ps)、システム最大出力150kW(204ps)、4WDモデルはフロントモーター80kW(109ps)、リアモーター80kW(109ps)、システム最大出力160kW(217ps)。航続距離(WLTP)はFWDが460km前後、4WDが500km前後と発表されている
トヨタbZ4Xのスバル版、ソルテラ。動力用電池にはリチウムイオン電池を採用し、総電力量71.4kWh、駆動方式はFWD(前輪駆動)とAWD(四輪駆動)の2種類で、システム出力はそれぞれ150kW(204ps)、160kW(217ps)
トヨタbZ4Xのスバル版、ソルテラ。動力用電池にはリチウムイオン電池を採用し、総電力量71.4kWh、駆動方式はFWD(前輪駆動)とAWD(四輪駆動)の2種類で、システム出力はそれぞれ150kW(204ps)、160kW(217ps)
2022年春に正式発表予定のレクサスのBEV、RZ450e。パワートレインの詳細は明らかにされていない。価格は800万円オーバーか
2022年春に正式発表予定のレクサスのBEV、RZ450e。パワートレインの詳細は明らかにされていない。価格は800万円オーバーか
ヒョンデのカッコ内は2WDのVoyage、Lounge
ヒョンデのカッコ内は2WDのVoyage、Lounge

 さて、ヒョンデのBEV、IONIQ5は、2022年に登場する日本車勢のBEVにとって脅威になるだろうか?

 まず、先鋒といえる日産のクロスオーバーEVであるアリア。予約注文専用のリミテッドに続いて、「B6(バッテリー容量66kWh)2WD」の2021年11月から正式注文受付が始まっている。価格は539万円、2022年3月下旬に発売開始される。

 以下、アリアの詳細を以下にまとめてみた。

■日産アリア2WD(FWD車)
●総電力量66kWhバッテリー搭載モデル
 最高出力:160kW/218ps、最大トルク:300Nm/30.6kgm
 1充電あたりの航続距離(WLTCモード):470km
●総電力量90kWhバッテリー搭載モデル
 最高出力:178kW/242ps
 最大トルク:300Nm/30.6kgm
 1充電あたりの航続距離(WLTCモード):610km

■日産アリア4WD(e-4ORCE)
●総電力量66kWhバッテリー搭載モデル
 最高出力:250kW/340ps
 最大トルク:560Nm/57.1kgm
 1充電あたりの航続距離(WLTCモード):430km
●総電力量90kWhバッテリー搭載モデル
 最高出力:290kW/394ps
 最大トルク:600Nm/61.2kgm
 1充電あたりの航続距離(WLTCモード):580km

 アリアの価格は受注が終了したB6リミテッドが660万円。現在予約受付中のB6が539万円、web予約受付中のB9リミテッドが740万800円、B6e-4ORCEリミテッドが720万600円、B9e-4ORCEリミテッドが790万200円となっている。

 いっぽう、トヨタとスバルが共同開発したトヨタbZ4Xとスバルソルテラ。こちらはバッテリーの総電力量は71.4kWhでFWDがフロントモーター150kW(204ps)、システム最大出力150kW(204ps)、4WDがフロントモーター80kW(109ps)、リアモーター80kW(109ps)、システム最大出力160kW(217ps)と明らかにされている。1充電あたりの航続距離(WLTP)はFWDが460km前後、4WDが500km前後。

 両車ともに日本発表は2022年年央が予定されている。イギリスでは71.4kWh、FWDのベースモデルが約650万円と発表されているが、日本では600万円前後になるのではないだろうか。

 アリアB6とヒョンデIONIQ5を比較してみよう。バッテリー総電力量58kWh/1充電あたりの航続距離498kmのINONIQ5のエントリーモデルが479万円と、現在最も安いバッテリー総電力量66kWh/1充電あたりの航続距離470km、539万円のアリアB6(2WD)と比べ、エントリーモデルのIONIQ5はスペックこそアリアB6よりも劣るものの、ジャスト60万円もエントリーモデルのIONIQ5のほうが安い。

 アリアB6の直接のライバル車となるのは、バッテリー総電力量72.6kWh/1充電あたりの航続距離618kmのIONIQ5Voyage(519万円)と IONIQ5Lounge(549万円)だろう。アリアB6はその中間の539万円だ。この価格設定を見ると、いかにヒョンデがIONIQ5に価格競争力を持たせているかがわかる。

 EVの令和3年度補正予算CEV補助金については、アリアB6は給電機能ありのため80万円となり、539万円→459万円となる。

 この上限80万円の補助金は給電機能ありのIONIQ5全車種も対象予定のため、エントリーモデルのIONIQ5(2WD)が479万円→399万円、IONIQ5Voyage(2WD)が519万円→439万円、IONIQ5Lounge(2WD)が549万円→469万円、IONIQ5Loung(4WD)が589万円→509万円。

 これに自治体の補助金(東京都の場合上限45万円)を加えれば、IONIQ5、アリアともに、さらに戦略的な価格になる。

 2022年春に発表予定のレクサスRZ、2022年年央に正式発表予定のトヨタbZ4X&スバルソルテラに対し、先手を打った形のヒョンデIONIQ5、日本で受け入れられるか、今後が楽しみだ。

次ページは : ■ポップアップスペース「Hyundai House Harajuku」

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