2020年12月に新型YZF-R7のスクープを掲載し的中させた当Webに、新たな情報が飛び込んできた。今度は新型YZF-R9が2023年にデビューするというもので、ヤマハが立て続けに新型スーパースポーツを登場させることになそうなのだ。
ここでは、新型YZF-R9の情報の詳細とヤマハがこれを出す背景についても探ってみたい。
文/ベストカーWeb編集部、CG/SHINGRAPHIC、写真/YAMAHA、TRIUMPH
【画像ギャラリー】2021年に新しくなったMT-09はYZF-R9化も視野に入れた装備を満載!?(13枚)画像ギャラリー今回も ネイキッドMT-09がフルカウルスポーツに化ける!?
2月14日に発売された新型YZF-R7は、ネイキッドモデルのMT-07をベースにフルカウルが与えられたモデル。レースで勝つことを前提に開発されたかつてのYZF-R7とは異なり、「楽しさを極める」をコンセプトとし、スーパースポーツモデルに憧れる中型クラスのライダーのステップアップを狙っている。
そのため価格は税込みでも100万円を切るものとし、近年価格が急上昇したスーパースポーツモデルの中で安さが際立つ価格帯としている。エンジンは並列2気筒を採用しているため最高出力は73PSと控えめだが、中型モデルのYZF-R25やYZF-R3は35PS/42PSなので、乗り換えるのにちょうどいいレベルのスペックとなる。
今回新たに出てくると予想される新型YZF-R9は、新型YZF-R7と同じようにネイキッドモデルのMT-09がベースになると予想される。MT-09は2021年にフルモデルチェンジし、排気量を拡大するとともに排ガス規制に対応。さらに電子制御がアップデートされているので、ベースにするにはいいタイミングなのだ。
MT-09は、生産終了したYZF-R6と同等の最高出力120PSに加え車重も189kgと軽量。また、新型YZF-R7には搭載されなかったトラクションコントロールを装備していることから、より高いレベルのライダーが本格的なスポーツ走行にチャレンジするのにちょうどいいパッケージになるだろう。
新型YZF-R9に採用が予想される並列3気筒エンジンは世界選手権でも通用
新型YZF-R9がベースにすると予想されるMT-09は並列3気筒888ccエンジンを搭載している。スーパースポーツモデルに並列3気筒エンジンを搭載する例としては、トライアンフのデイトナシリーズが先駆者となる。
また、2019年からモトGPの中量級クラスのモト2では、トライアンフの並列3気筒エンジンが採用されて注目されている。モト2では、2018年までホンダCBR600RRの並列4気筒599ccベースのエンジンが使われていたが、トライアンフのネイキッドモデルであるストリートトリプルベースの並列3気筒765ccエンジンに変更されたのだ。
並列3気筒のレーサーは、従来の並列4気筒とは異なり、コーナリングスピード重視ではなく立ち上がり重視のモトGPに近いライディングが求められると言われる。その意味では2輪スポーツの頂点に近づくには、並列3気筒がステップアップへの道筋と言えるかも知れない。
ヤマハが新型YZF-R9を並列3気筒エンジンで開発するとすれば、モトGPライダーを育成する器にもなる本格的なミドルスーパースポーツに仕上げてくる可能性も高いだろう。そして、これが生産終了となったYZF-R6の穴を埋める本命モデルになるはずだ。