熱中症などの話題があがることの多い灼熱の日本列島。運転中なども脱水に陥りやすいので対策をしてほしいがふと思ったことがある。エアコンの設定温度を低くすればするほど燃費は悪くなるのだろうか?
家庭用エアコンはつけっぱなしが電気代節約になるとか、いろいろ言われているがクルマのエアコンに関してはどうなのだろうか? 国沢さんに聞きました。
文;国沢光宏/写真:ベストカー編集部
ベストカー2018年8月10日号
■好きな温度でエアコンを使っても燃費に大差なし!!
中国に行ったことのある人ならご存じのとおり、かなり暑い日でもタクシーの運転手さんはエアコンを使ってくれない。
エアコン使ったらめちゃくちゃ燃費落ちると信じているからなのだった。
日本も同じように考えている人が少なくないらしい。達人コラムの編集担当も「真夏のエアコンですけれど、何度なら省エネになりますか?」と聞いてきた。
これはいい機会なので、エアコンと燃費について考えてみよう。
まずエアコンのために使われる”馬力”について。マニュアルエアコンの「カチン」とコンプレッサーを駆動するクラッチが繋がって稼働している状況で5馬力前後といわれている。
オートエアコンの可変容量タイプは気温や設定温度によって変わるものの、やはり最大で5馬力前後の消費馬力だと考えていい。
つまりエアコン稼働時は走行速度に限らず5馬力前後分の燃料(電気自動車やハイブリッド車なら電気)を使っていると考えてほしい。
100km/hで走っている時のクルマの 出力は、30〜40馬力。この状態でエアコンが3馬力消費しているなら、7〜10%程度の燃費低下になる。
オートエアコンの場合、設定温度によってコンプレッサーの負担は変わってくる。気温や日光の強さ、はたまた使用しているガラスが熱反射タイプになっているかでも違うけれど、2〜3度の違いなら、ほとんど誤差の範囲内だと思っていい。
結論から言えば「高速道路だと何度にセットしても燃費は大差なし」。

猛暑の車内の温度は簡単に50℃を超える。走行中も熱中症の可能性もあるため、微々たる燃費の差を気にするより快適な温度にするのが一番だ
渋滞ならどうか? この時に必要な走行用エンジン出力は、平均速度10㎞/hと20㎞/hの渋滞で大きく違う。当然ながら速度低いほど必要出力も低い。
いっぽう、エアコンに必要な馬力は停止していても同じ。つまり時間で決まる。渋滞が激しくなれば、エアコンによる燃費悪化が顕著になるという寸法。
極端な話、動かない状態でエアコンかけていたら、燃費0km/lです。アイドリングストップ付きのクルマだと、エアコンで20%以上の燃費悪化を覚悟しなくちゃならない。
当然ながらオートエアコンの設定温度は、高いほうがコンプレッサーの負担を減らせる。25度と28度だと車種や外気温によって違うけれど、2〜3%の差は出てくる。
ここまで読んで多くの人は「だったら好みの温度に設定するよ!」と思うことだろう。
暑いのガマンしてホンの少し燃費浮かしたって意味なし。また、ハイブリッド車などに採用されているインバーター式のコンプレッサーは効率いいため、燃費悪化率極めて少ない。
25度と28度は渋滞時ですら大差なし。
以下ウンチク。白人と黄色人種では温度に対する感覚が違う。一般的に白人は低めを好む傾向。そんなことから、輸入車のオートエアコンって22度が標準。
興味深いことに22度にセットしても日本車の25度と同等レベル。輸入車に乗っているなら22度で日本車の25度と同じレベルだが、輸入車で25度にセットすると暑いのだった。
結論。エアコンはお好みの温度にセットすればいいと思います。
コメント
コメントの使い方