【2】自動車税は“車齢”に応じて減額を
自動車税は排気量に応じて課税され、乗用車であれば1000cc以下が2万9500円、1001~1500ccが3万4500円、1501~2000ccが3万9500円。最も高い税額は6001cc以上で11万1000円だ。
自動車税は財産税に含まれる。宝石も財産なのに課税されず、自動車は対象に含めるのは、後者は使うことで利益を生み出すからだ。自動車を利用すれば効率の良い移動が可能となり、たくさん仕事ができてお金を稼げる。さらに高額の資産価値も備わるから、課税の対象にされた。
1958年までは「自転車・荷車税」もあり、文字通り自転車や荷車も課税の対象にされていた。これが今の軽自動車税に繋がったため、市町村税に含まれている(小型/普通車に課税される自動車税は都道府県税)。
しかし、上記の認識は今の自動車の現実とは掛け離れている。自動車は高額商品で税金の上では資産とされるが、今のユーザーにその認識は乏しい。実用的な移動のツールになっているからだ。
また「自動車を持てばお金を稼げる」のは一面の事実だが、年金で生活する高齢者が通院などのために自動車を所有することも多い。ここでの自動車は、生活必需品でライフラインの一種だ。
つまり、自動車を取り巻く使用環境の変化に、自動車税を含めた自動車関連の税制が追い付かず、実態と徴税の趣旨に隔たりが生じているのだ。
そして、自動車税は財産税だから、固定資産税などと同様、課税は資産価値に基づいて行われなければならない。
現状では流通価値が1万円の車両にも、年額3万9500円といった自動車税が課せられるが、徴税の趣旨に合わずユーザーも納得できない。実際には自動車重量税も車検の度に納めるから、自動車の価値を大幅に超えた税金を負担するユーザーも多い。
そうなると自動車税の徴税は、減価償却の考え方に基づいて行うべきだ。財産価値の高い購入直後には、2000ccエンジンを搭載した乗用車であれば年額3万9500円を納めても、時間の経過に従って自動車税を減額していくのが理屈に合う。軽自動車税も時間の経過に応じて減額すべきだ。
【3】矛盾多きエコカー減税の撤廃
今の自動車税制は激しい矛盾を抱える。
前述のように課税根拠を失った「元・道路特定財源」の自動車取得税・重量税を存続させながら、その一方ではエコカー減税も実施しているからだ。違法性を伴う徴税と減税が併存する。
ユーザーから見れば、国と自動車業界による搾取と受け取られる。不当な重税は自動車業界にとっても困るが、購入時にエコカー減税を実施すれば、自動車販売への悪影響は小さく抑えられるからだ。自動車ユーザーに重税を課しながら、国が自動車業界に配慮した形になっている。
特に今の自動車メーカーは、背の高い軽自動車やコンパクトカー、ミニバンなど、エンジン排気量の割にボディの重い車種を販売に力を入れる。
これらの車種は燃費基準を高水準で達成しやすく、エコカー減税にも適合させやすい。ハイブリッド車も含めて売りたい車種の多くが減税対象に入るから(2018年4/5月以降は少し減ったが)、メーカーにとってあまり痛手にならない。
そうなるとユーザーは、エコカー減税で購入時の税額は安く抑えられても、その後は、長い年月にわたって高額な税金を負担することになる。
さらに、前述のように燃料に含まれる税金も高額だ。その負担額はユーザーの使い方で異なるが、1年間に1万kmを走れば相当多額になる。つまり、自動車ユーザーの税負担は、購入時ではなく所有段階で最も重く課せられているのだ。
従って自動車業界が自動車関連の税金をユーザーの立場で考えるなら、エコカー減税の撤廃と“クルマを買った後”の税負担軽減を訴えるべきだ。「購入時の税額が少々高まり、自動車の売れ行きが一時的に下がってもそこは許容する」といった見方も不可欠になる。
所有段階での税負担を抑えない限り、自動車の需要を長期的に保つことは難しい。自動車業界は、短期的で都合の良い国と馴れ合う考え方は捨てるべきだ。
コメント
コメントの使い方