日産e-POWERが天下を取った理由と今後のマル秘倍増計画

■ミニバンナンバー1のセレナがウケた理由

セレナe-POWERの価格はe-POWER Xが296万8920円、e-POWER XVが312万8760円、e-POWERハイウェイスターが317万8440円、e-POWERハイウェイスターVが340万円4160円。いずれもFFの価格

 一方のセレナは、2016年8月に現行型に移行し、予想どおり高い人気を博していたところ、e-POWERの追加により、それがさらに盤石となった。

 実質的には、トヨタのノア/ヴォクシー/エスクァイア三兄弟を合計するとセレナをずっと上回ることには違いないが、同クラスの競合車もマイナーチェンジや改良を図り、販売増に向けて努力しているなか、2017年にはなかなか上回ることのできなかったヴォクシーの牙城を2018年に崩すことができているのは、e-POWERのおかげであることはいうまでもない。

 両車の2018年10月時点における今年度のe-POWERの販売比率は、セレナが約40%、ノートが約65%となっているという。とくにノートは、一時期よりもやや落ちたとはいえ、今でも3台に2台はe-POWERが売れている計算になるわけだ。

 これほどでe-POWERが人気を博した理由としては、なによりもまず非常に興味をひくものであることが大きい。

 そして、実際にドライブしてもインパクトがあることや、価格が手頃であること、さらには既出の2モデルに関しては、設定された車種がよかったことはいうまでもない。

 要するに、すべておいてその魅力がわかりやすいところが、ヒットした理由といえるだろう。

 e-POWERを訴求するために、日産では「電気自動車の新しいカタチ」という表現を用いた。ただし、実際にはこれぞまさしくシリーズハイブリッドであり、正確に分類すると電気自動車ではないので、正しくないといえば正しくない。

 おりしも日産はセレナでアピールした「同一車線内自動運転」が、自動運転ではないと一部でバッシングを浴びた。一連の日産の手法を自動車メディア業界内でも厳しいことを言う人は少なくなかった。

 しかし、たしかにそうではあるが、いずれも商品の特徴を端的に上手く表現していることには違いない。

 ユーザーにとっては、定義に対してどうかよりも、どういう商品かがいかにキャッチーに伝わるかが大事。実際にも電気自動車のように走れるe-POWERを「電気自動車の新しいカタチ」と表現することで、少しでも多くのユーザー予備軍の人に興味を持ってもらえば、それで万々歳だ。そこに目くじらを立てるべきはない。

セレナe-POWERは発電用エンジンが84ps/10.5kgmを発生する1.2L、直3、走行用モーターが136ps/32.6kgm。このほか2L、直4ガソリン車(150ps/20.4kgm)、2L、直4のスマートシンプルハイブリッド車(マイルドハイブリッド車。走行用エンジン150ps/20.4kgm+モーター2.6ps/4.9kgm)をラインアップ。JC08モード燃費はセレナe-POWERが26.2km/L、ガソリン車が15.0km/L、スマートシンプルハイブリッド車が16.6〜17.2km/Lとe-POWERが圧倒的に燃費がいい

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