日産e-POWERが天下を取った理由と今後のマル秘倍増計画


■ワンペダル感覚の「アクセルひと踏み惚れ」で購入するケースが多い

2016年9月のノートe-POWER発表時のもの。ワンペダル走行のおもしろさを「ひと踏み惚れ」というCMキャッチコピーで表現

 電動車両と呼ぶよりも電気自動車と呼んだほうが、より多くの人に響くことは想像に難くない。ちなみに日産ではe-POWERとピュアEVを併せて「電動車両」と認識しており、そこにはマイルドハイブリッドや1モーター2クラッチ式のハイブリッドは含まれない。

 そして興味を持った人、なかでもそれまでEVに触れたことのなかった人が実際にドライブして、アクセルペダルだけでクルマの加減速が自在に行えるワンペダル感覚や、モーターによる瞬発力のある独特の加速フィールを味わって、まさしくアクセルを“ひと踏み”で惚れて購入にいたるというケースが非常に高いらしい。それはまったくうなずける話。

 日産としてもe-POWERの出来には自信があるので、日本全国のできるだけ多くの購入可能性のある人たちに実車に触れてもらうための機会を積極的に設けてきたそうだが、それが功を奏していることが昨今の販売実績にも表れているわけだ。

 e-POWERはまったく新しいシステムだが、これを作り上げることができたのは、リーフで培った技術を持つ日産だからこそだ。力強くスムーズに走らせるための出力制御や、電動車両特有の音の問題への対処なども申し分なく、完成度の高いものができた。

 ピュアEVであるリーフが誕生して当初の想定よりも売れていないのは否めないが、リーフの開発で培った技術はけっして無駄になっていないのだ。

 そして価格。ぶっちゃけガソリン車との価格差はそれなりにある。単純には比較できないが、ノートのガソリンのSが142万1280円、Xが152万3880円、メダリストが209万1960円。

 ノートe-POWERと1.2Lガソリン車の同じグレードで比較してみると、Sグレード同士で48万600円差、Xグレード同士で49万7880円差、メダリスト同士で26万1360円差。おそらく所有して普通に使っている期間に燃費でモトをとれる人はほとんどいないだろう。

 しかしそれはガソリン車と比較しなければよいだけの話。充分に現実的に購入可能な価格設定であることには違いなく「高価」というほどではない。

 そもそも購入検討者にとっては、価格差にも勝る「e-POWERに乗りたい!」という積極的な気持ちがある。金銭的にモトはとれないまでも、e-POWER独特の運転感覚を味わえると思えば、精神的には充分にモトが取れると思ってよいだろうし、実走燃費もガソリン車とはそれなりに違うことはいうまでもない。

 さらに、売れゆきがよいのは、設定した車種がよかったから。セレナの属するMクラスミニバン市場は、魅力的な競合車があればそちらにたやすく流れる。セレナはe-POWERがなくても、もともと売れていたところに、e-POWERが追加されたことで、ハイブリッドミニバンに興味を持っている人の目をこちらに向けさせることができたのが大きい。

 一方のノートも、登場から時間が経過していても、実用性に優れるパッケージングや普遍的なデザイン、上質な内装などのコンパクトカーとしての基本的な実力の高さが効いた。

 そこに、いずれも日産の充実した販売網による絶対的な販売力や、いまでも地方に行くほど高まる日産のブランド力など、日産そのものの底力の強さも、e-POWERの成功の要因として挙げられよう。

■今後のe-POWER戦略はどうなる?

2019年春に登場予定の新型ジュークにはe-POWERが搭載される(ベストカー本誌がCGで製作したもの)

 では今後の日産のe-Power戦略はどうなるのだろうか? 日産は2022年までの中期経営計画で、5車種のe-POWERを投入することを明らかにしており、EVを含めた電動車両で乗用車の国内販売構成比40%達成を目指すとしている。

 ベストカー本誌では、今後登場するe-POWER搭載車を予想している。具体的な予想は下記の通り。

●2019年春登場予定/新型ジューク(発電用 1.2Lエンジン+モーター、120ps/28.0kgm)

●2019年10月登場予定/ティアナe−POWER(北米仕様の新型アルティマ、発電用2Lエンジン+モーター)

●2019年12月登場予定/エクストレイル(発電用1.2Lエンジン+モーター、150ps/35.0kgm)

●2019年3月登場予定/新型ノート(発電用1.2Lエンジン+モーター、120ps/28.0kgm)

●2020年秋登場予定/キューブ後継車(発電用1.2Lエンジン+モーター、120ps/28.0kgm)

 当面は既存の1.2Lエンジンをベースとするユニットを基本に展開されるが、車両重量の大きい車種に向けてエンジン排気量を拡大した新規ユニットも用意される見込みで、例えばそれがやや動力性能不足が指摘されているセレナにも与えられる可能性もある。

 一方、e-POWERの登場当初より、ぜひやるべきといわれている軽自動車のe-POWERについては、ただでさえ重くなった近年の軽自動車に、バッテリーの搭載などにより、さらに重量が増加することが確実なところ、660ccのエンジンとの組み合わせでは効率がよくないことから、当面はないものと思われる。

 いずれもしてもe-POWERは、日産が標榜する「インテリジェント モビリティ」における「電動化」の中核をなす技術として、今後もますます幅広く展開されていくことは間違いない。

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