■かつてのミドルセダンの雄、カムリは北米向けに
カムリはトヨタのミドルサイズセダンで、初代モデルは1980年にカリーナの姉妹車として発売された。
1982年に発売された2代目は、前輪駆動に切り替わって広い車内を備えた。特に後席は当時のクラウンよりもゆったりしており、運転のしやすさと快適性を両立させている。
1986年に発売された3代目は、車内の広い5ナンバーセダンという持ち味を踏襲しながら、内装の質も高めて、上級指向のファミリーユーザーから人気を得た。
ところが1996年に発売された6代目は、北米指向を強めて3ナンバー車になり、全長は4760mm、全幅は1785mmに達した。
車内は広くて快適だが、日本でLサイズセダンを売るには、豪華さやスポーティ感覚が不可欠だ。
カムリは地味で、2001年発売の7代目、2006年の8代目ともに販売は伸び悩む。2011年の9代目では、直列4気筒2.5Lエンジンをベースにするハイブリッド専用車になった。
そして2017年に現行型の10代目に発展している。現行型はハイブリッドシステム、プラットフォームともに刷新され、動力性能、燃費、走行安定性、乗り心地をバランス良く向上させた。
外観と足まわりをスポーティに仕上げたWSも追加され、低重心で高剛性なセダンボディの良さを実感できる。
現行カムリの1か月間の販売目標は2400台だったが、2018年度上半期の月販平均は1300台少々だ。
海外向けに開発されたクルマが順調に売れるほど国内市場は甘くないが、従来型に比べると人気は少し高まってきた。特にカムリWSは相応に華やかでカッコ良さも感じられ、ミドルサイズセダンの拡大版という印象だった従来型とは趣が異なる。
■コンパクトハッチだったシビックの今
シビックはかつて、若年層に圧倒的な人気を誇った。スカイラインが憧れなら、シビックは等身大の存在であった。初代モデルは1972年に発売され、当時では珍しい前輪駆動の採用により、広い室内を備えた。
1983年に発売された3代目は長いホイールベース(前輪と後輪の間隔)によって外観をスマートに仕上げ、走行安定性も優れ、後席を含めて居住性をさらに向上させた。1.6LのDOHC(ツインカム)エンジンも搭載している。
1995年には6代目に発展して、3ドアは全長を4180mmに抑えながら、ホイールベースは2620mmとかなり長い。
ボディの前後が切り詰められて外観に塊感があり、危険回避時を含めて安定性が優れていた。後席の居住性も一層向上している。タイプRも追加され、ヒット作になった。
ところが2000年に発売された7代目では3ドアが削られ、5ドアハッチバックとセダンになった。2001年に初代フィットが発売されたこともあり、シビックはユーザーを奪われて売れ行きを下げた。
2005年発売の8代目は、3ナンバーサイズのセダンのみになっている。タイプRを追加(復活)したものの人気を回復できず、国内仕様を終了させた。
この後は不定期にタイプRなどを輸入していたが、2017年に10代目が復活している。
10代目は全幅が1800mmに達する3ナンバー車で、セダンだけが日本製だ。5ドアハッチバックとタイプRはイギリスからの輸入車になる。
セダンとハッチバックは1.5Lのターボエンジンを搭載しており、動力性能は2.2Lと同等だ。これに2LターボのターボRが加わる。
現行シビックは、以前のイメージに比べるとボディが大柄で価格も高い。それでも正確性の高い操舵感と優れた安定性など、走りは今でも上質だ。
日本のユーザーの感覚としては、シビックというよりも、かつてのアコードに近いだろう。そして現在の車種ラインナップでいえば、かつてのシビックに相当するのはフィットになる。
このように車種を置き換えると、比較的納得しやすい。かつてのアコードは欧州車風味の漂う少しオシャレなミドルサイズカーで、今のシビックも同じような印象を受ける。
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