■1回戦組み合わせ3:デミオ15MB×ポロGTI
お次はデミオ15MB×VWポロGTIと、ちょっとお堅い感じのする2台の組み合わせ。デミオ15MBは、モータースポーツベース車両として、エンジンとトランスミッションを換装したほか、装備の簡略化による軽量化などしただけでなく、ねじれ剛性を高めたほかサスペンションジオメトリーを見直すなどしていて、完成度はかなり高い。
デミオは最高出力116ps、最大トルク15.1kgmとスペック的にはたいしたことはないが、出力特性にこだわっていて、加速感はなかなか気持ちがよい。
対するポロGTIは、今回最大となる2Lの4気筒ターボで、ゴルフGTIと同じ排気量(ゴルフGTIは230ps/35.7kgm)ながら、ゴルフGTIのエンジンよりも1世代新しい、ミラーサイクルの概念を採り入れた第3世代のEA888型エンジン。
もっとパワーを出せたはずのところをあえてほどほどに抑えて扱いやすさを重視したようで、排気量があるぶんトルクも太くて乗りやすい。湿式多板6速DCTもスムーズかつダイレクト感もあり、とてもよい仕事をしている。
ちょっとクラスが違う感じ。新型ポロGTIは、歴代最速に加えて、さらに洗練されてゴルフGTIに近い走りの質感を実現していることも強みだ。
デミオ15MBは気持ちいいクルマだが、残念ながら相手はかなり手強かった。ポロGTIの勝ち。
●ポロGTIの勝ち!
■1回戦4:ヴィッツGRスポーツGR×アバルト595
1回戦最後はヴィッツGR×アバルト595だ。ヴィッツGRはトヨタらしく、キッチリとそつなくまとまっている。足まわりはアクセルワークで姿勢を積極的にコントロールできるツウ好みの味付けで、攻めて走ったほうが楽しい。
ただし、GRはエンジンには手を入れないのがお決まりとなっているので、むろん非力なまま。そこにあまり面白みない。
一方のアバルトは、ご存知のとおりフィアット500のチューニング版であり、内外装もアバルトらしくドレスアップされていて見た目の魅力もある。
ちなみにアバルト595には、145psのベースモデルのほか、165psで上級仕様のツーリズモ、180psで上級かつ高性能版のコンペティツィオーネという3モデルがラインアップする。
ヴィッツにも、「GR SPORT」、「GR」、「GRMN」という3モデルがラインアップされているが、中堅のGRですらエンジンはノーマルのままというのがちょっと惜しい気も。その点アバルト595は、595のなかに3タイプの個性があるところがポイントだ。
思えば欧州勢はそういうクルマが多く、今回のルーテシアRSや208GTiもそうなら、MINIにもクーパーとクーパーSとJCWという3段階が用意されている。
やはり欧州ホットハッチの面々は層が厚いなとつくづく思う次第だが、アバルト595に話をもどすと、ベースモデルですら、その走りはなかなか刺激的だ。
パンチの効いたエンジンとはじけるエキゾーストサウンド、キビキビとしたハンドリングなど、「痛快」という言葉がこれほど似合うクルマはない。それをユニークなデザインとともに楽しめるという稀有な存在である。
粗削りな面も感じるものの、楽しさではピカイチだ。そつのないヴィッツGRに対し、楽しさではアバルトという感じ。優劣の問題ではないのだが、ここではその楽しさとキャラの濃さでアバルトの勝ちとしたい。
●アバルト595の勝ち!
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