■IとLOVE、「アイ」には2つある
BC/上杉鷹山はしきたりにはこだわらなかったと伝わります。例えば殿様が声を掛けることなどない下級武士に声を掛けるといった話が伝わります。モリゾウさんとますます被ってきました。
モリゾウ/人を育てるには時間と愛が必要です。権力を持つと愛が「ワタクシ」のほうのIになってしまう人をたくさん見てきました。LOVEがないと人は動きません。
以前、明治維新の英傑のなかでは西郷隆盛に憧れると話したことがありますが、上杉鷹山も西郷隆盛も私心を持たず、ともにIではなくLOVEを中心に行動した点が、私が尊敬する理由です。
BC/IとLOVE、2つの「アイ」がある。耳の痛い権力者もいることでしょう。
モリゾウ/そうです。私は「肩書でなく、役割で仕事をしよう」と会社を変えてきました。もちろん道半ばですが、さまざまな効果が生まれてきてもいます。現場や取引先を叱ったりもしますが、ベースに愛があるからわかってもらえるのです。
トヨタのように巨大な組織を変えようとすれば、時間と辛抱強い愛が必要だと思います。そして、権力は未来や世代交代や現場のために使うべきであって、自身の地位のために使ってはなりません。そういったことを私自身が示すことで、日本の社長のひとつの形として提示できたら、こんなにいいことはないと思っています。
BC/軽々しく定年のお話を聞いてしまい、申し訳ございませんでした。実はさらに不躾なお願いがあります。ベストカーの客員編集長になっていただくことは可能でしょうか?
モリゾウ/……!?
(まさかの次回に続く!)
【番外コラム】モリゾウさんが教える60歳からの運転上達術
1956年生まれのモリゾウさんは、2007年アルテッツァでニュルブルクリンク24時間レース、2012年86でラリーチャレンジに初参戦して以来、レースやラリーに参戦し続けてきたイメージがあるが、本当に速くなったのは最近のことだという。
特にスーパー耐久に参戦し、佐々木雅弘選手や石浦宏明選手のデータロガーを解析しながらのアドバイスが効いて「クルマと対話ができるようになった」とモリゾウさんは、その手ごたえを語るが、我々にもできる運転上達の方法はないのだろうか?
「クルマが好きで、運転が好きなことが第一の条件です。次にどこか安全なところで走り込むことです。昨年、一昨年とコロナが蔓延するたびに私は愛知県蒲郡市にある研修所施設内のコースを走り込みました。それが今になっていい影響として現われているのかもしれません。
これは亡くなった成瀬弘さんに運転トレーニングを受けた時の『テールライトを見て走れ』、『テールライトのところでブレーキを踏め』という2つの教えを忠実に守り、成瀬さんの後ろをひたすら追っかけた時の濃密な時間と重なるものがあります。
60歳になろうが70歳になろうが、集中して走り込む時間があれば、運転はまだまだうまくなると思います」
モリゾウさんの走り込む様子をいつか見てみたい。
【画像ギャラリー】「モリゾウ」だけじゃない! トヨタ自動車社長 豊田章男氏の側面をギャラリーで見る(5枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方西郷隆盛以外はとても共感する、深い話でした。さすが大企業の大黒柱。
とくにソニー&ホンダに自工会に入って欲しいというのは、今入っていない事に驚きましたし
テスラやGM含めてBEVで深刻な不具合出ていてもアップデートしますからで済ませているのは本当に顧客軽視だと思っているので、阻止して欲しいです。