クラリティPHEVは高い?? BMW i3の先進性は健在?? 最先端技術車を検証

■リアにスパッツを設ける必要性が本当にあるのか?

リアの荷室を開けると、支えのダンパーが弱すぎて、今日のように風が吹いている状況では勝手に閉まってしまいます。

もうちょっとダンパーを強くしないと危ないと思います。荷室そのものもけっして広くはありません。

右下に見える吸気パイプはダクトから直角に曲がっている。これでは吸気効率も悪い

下にバッテリーが収められているとしても、ちょっと荷室床面が高すぎます。形状にもうちょっと工夫がほしいです。

エンジンルームは、まあ取り立てて特別なことはありませんが、特にカバーなどで覆われているわけではなく、ごくごく普通のエンジンルームといった雰囲気。

ただ、クルマのサイズを考えると、エンジンルームのスペースは大きい。ベンツならばCクラスレベルの大きさです。

大きさのわりに細部の設計が上手く生かされていない印象です。例えばエンジンの吸気パイプですが、スロットルチャンバーから各気筒へのインテークへカクッと90度曲げている。

レゾネーターも容量が小さすぎて吸い込んだ空気が均等化しません。これでは奥の3番、4番シリンダーに優先して吸気が流れて、1番や2番シリンダーへの吸気は不足気味になってしまいます。

せっかくエンジンルームに広さがあるのだから、もっとパイプの取り回しやレゾネーターの容量に余裕を持たせることができるはずです。

燃費が重要なクルマなのでデザイン形状だけでなく、空力についてもきちんと重点訴求してほしいです。

フロントバンパーのヘッドライト下の部分など、こんなに尖らせてはその後ろは渦の発生源。

さらにLEDのアクセサリーランプが入っている左右の角の部分も同様です。バンパーの尖った部分との段差があり、この段差で風の流れが乱れ、渦ができてしまいます。

さらに、サイドに回り込む部分がフラットな形状となっていますが、これでは前輪のホイール面にもろに風がぶつかってしまい、また渦ができる。

この後端部分は、風が外側に変化するフィレット面を作り、タイヤに直接風を当てず、むしろホイールハウス内部に溜る空気を吸い出す形状にして、空気抵抗と、持ち上げる力=リフトを低減させた方がよいと思います。

ただし、そもそもホイールアーチが大きすぎるので、フェンダー内部に風を巻き込み溜め込んでリフトや抵抗を発生してしまいます。

サイドからリアにかけての形状は……、うーん、リアドア下部に整流のためのダクトを設けています。

これにより後輪ホイール側面にスムーズに風を流そうとしているのはわかります。しかし、もともとの形状でホイール側面と外板に段差があるため、このような後処理的な仕掛けが必要なのです。

空力性能を追求しているというわりには、水野さんはまだまだ改良できるポイントがたくさんあると感じたという

トランクリッド上部後端も直線的ですが、この部分はちょっと風が上方に流れるような形状としたいです。

現状の形状だと、ちょっと濃色ガラスになっているガーニッシュ部に渦ができて負圧となるために、雨の水滴や跳ね上げる泥がこの部分に付着し、汚れてしまいやすくなります。

クラリティのリアフェンダー部分はタイヤを上半分覆うスパッツのような形状としていますが、これは空力技術が古かったころの処理。

最新のBMW5シリーズのCd0.22とか、ベンツEクラスCd0.23でリアにスパッツが付いていますか? ということです。

次ページは : ■シティコミューターとしてi3の実力はいかに?

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