60年代からあった!?? 流れるウインカー流行の理由と今後の行方


  最近、街中で見かけるようになった流れるウインカー。アウディをはじめ、レクサスやトヨタ車の一部に装着され、ついに軽自動車のN-BOXカスタムまで普及している。

そこで、流れるウインカーはいつから装着できるようになったのか、どんな車種に採用されているのか、今後流れるウインカーはどうなっていくのかなど、最新の流れるウインカー事情をモータージャーナリストの岩尾信也氏が徹底解説する。

文/岩尾信哉
写真/ベストカー編集部、日産自動車、レクサス、トヨタ、ホンダ、アウディ、VW、ポルシェ、シトロエン


■そもそも流れるウインカーはいつから採用?

最近路上で見かけるようになった流れるウインカー。採用がまだ広く進んでいないので、呼び名が各自動車メーカーによって様々あるが、LEDを用いて連続的に左右対称に光るウインカーシステムとして、国土交通省は「連鎖式点灯方向指示器」と定義している。

「連鎖式」は英語だと「シーケンシャル:sequential:連続的、継続的、逐次」の意となり、わかりやすくいえば「流れる」とは、見た目のうえで、LEDランプが連続的に車両の内側から外側へ水平方向に点灯していくということだ。

※アウディがマトリックスLEDヘッドライトとともに採用している流れるウインカー、ダイナミックターンインジケーターの動画

日本でもアウディA8が2014年3月のマイナーチェンジで標準装備されたマトリクスLEDヘッドライトが話題になり、その際に併せて設定されたのが流れるウインカーであるLEDダイナミックターンインジケーターだ。

実は単独の装置としてLEDを用いた世界初の装備となったのは、量産車と呼ぶのは微妙だが、主要メーカーの販売車両としては、2013年モデルのアウディR8のリアコンビネーションランプに採用されている。

流れるウインカーの採用が進んだきっかけは、世界的な自動車の装備品に関する安全基準の統一が進んでいるからだ。

■世界基準ではどうなのか?

自動車の安全性の向上と国際的な基準調和の観点から、国連欧州経済委員会(UN/ECE)の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)が制定した「方向指示器に係る協定規則(第6号)」に基づき、国土交通省は2014(平成26)年10月に「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」のなかで、方向指示器などに関する法改正を実施、公布・施行した。

WP29が定めた要件の概略を説明すると、「自動車の前部又は後部に備える方向指示器について、一定の要件を満たすものに限り、連鎖式点灯(シーケンシャル点灯)により点滅することができること」とされている。

細かい定義としては「連鎖式点灯」とは、灯火の個々の光源が予め決められた順序で点灯するように配線された接続により点灯することを意味するのだが、なかなかまどろっこしい。

街で流れるウインカーがしばしば見かけるようになったのは、後述するようにトヨタがレクサスLSやクラウンなどの売れ筋の高級車に積極的に採用し始めたことが大きい。

いっぽうで調べを進めると、販売車種に標準装備として設定している例が想像するほど多くはないことがわかってきた。

これにはそれなりの理由があり、どうやら保安要件とデザインが鎬を削っているようだ。

詳細を国土交通省・自動車局に問い合わせてみると、前述のWP29による基準とともに国土交通省が定める保安基準と併せて仕様が決まるようである。

ひとつトリビアを加えておけば、流れるウインカーは1965年のフォードマスタングのリアランプにバルブ式として初採用されている。

日本車では海外にも輸出された1968年発売の日産ブルーバードSSSクーペ(510型)が、同じくリアランプに採用しているが、どちらもウインカーと兼用で装備されていた。

流れるウインカーが採用された1968年式ブルーバード510SSSクーペ。日産はハミングテールと呼んでいた

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