2023年4月14日、ホンダとヤマト運輸が集配業務における軽EV(電気自動車)の実用性の検証を実施すると発表した。ホンダが2024年に発売を予定しているN-VANベースの軽商用EVの開発・普及に向けた取り組みで、宅配便という生活に身近な領域でも商用車の電動化が進みそうだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/フルロード編集部・本田技研工業・ヤマト運輸
ヤマト運輸がホンダの軽商用EVを検証
本田技研工業とヤマト運輸は、ホンダが2024年春に発売を予定している新型軽商用EV(電気自動車)の集配業務における実用性の検証を、2023年6月から8月まで実施すると発表した。
実用性の検証には、ホンダの軽バン「N-VAN」(エヌバン)をベースとしたテスト用車両を使用する。
近年、EC(電子商取引)市場の拡大により物流の需要が高まっており、温室効果ガス排出量の削減など、サステナブルな物流の実現に向けた取り組みの必要性も増している。
ホンダは、2050年にホンダが関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルの実現を目指している。日本市場においては、2024年春に発売予定の新型軽商用EVを含め、生活に身近な軽自動車の領域からEVの普及に向けた取り組みを進めているところだ。
いっぽうヤマト運輸は、グループとして「2050年温室効果ガス自社排出量実質ゼロ」および「2030年温室効果ガス排出量48%削減(2020年度比)」を掲げている。その主要施策の一つとして、2030年までにEV20000台の導入を目標としており、小型トラックを中心にEVの導入を進め、サステナブルな物流の実現に向けた各取り組みを進めている。
こうした両社の取り組みを背景に、ホンダが2024年春に発売を予定している新型軽商用EVの環境負荷軽減効果を検証するとともに、ヤマト運輸の集配業務における実用性や車両性能の検証を共同で行なうこととなった。
さらに、充電オペレーションを含むエネルギーマネジメントに関する各種基礎データを取得し、より実用性の高いEVの運用に役立てるという目的もある。
新型軽商用EVは軽商用バンであるN-VANをベースとしており、大容量かつ、助手席からリアまでフラットとなる荷室空間が特長。これを生かし、本検証ではヤマト運輸が配送車への導入を進めている小型モバイル冷凍機「D-mobico」(ディー・モビコ)を荷室に2台搭載し、冷蔵・冷凍品の配送にも対応する。
温度管理が必要となる配送のニーズが増加するいっぽう、冷凍機の搭載スペースが限られる小型車では、ドライアイスによる冷却を行なっている車両も多い。ドライアイスは気化することで二酸化炭素ガスとなるため、温室効果ガス削減のためにはドライアイス使用量も減らす必要がある。
ヤマト運輸とデンソーが共同開発したD-mobicoはモバイルバッテリーで駆動し、ドライアイスを使用しないため、より環境に配慮した配送が可能だ。