スカンジナビア・エンバイロ・システムズ(以下エンバイロ)とアンティン・インフラストラクチャー・パートナーズ(以下アンティン)は、ミシュランの支援を受け、大規模なタイヤリサイクル事業を推進する合弁会社を設立したと発表した。
今後、原材料に分解するリサイクルプラントを欧州全域に建設し、年間最大100万トンに及ぶ廃タイヤのリサイクルが行なわれる見込みだという。
文/フルロード編集部 写真・図/写真AC・Scandinavian Enviro Systems・フルロード編集部・日本自動車タイヤ協会
世界最大規模のタイヤリサイクルグループが設立
スウェーデンに本社を置くエンバイロ社は、廃タイヤからカーボンブラック(タイヤなどのゴム製品の強度形成に配合される)や熱分解油(プラスチックなどの石油化学製品を熱分解することで得られる油=TPO)などの原材料を抽出する特許技術を保有する企業。
今回のジョイントベンチャーは、エンバイロの熱分解技術に基づいて設立されたもので、欧米でインフラ設備の投資を行なってきたアンティン社は初期投資の資金提供を行なうとしている。
いっぽうミシュランは、ジョイントベンチャーとパートナー契約を結び、今後の工場建設に伴い使用済みタイヤの供給を担う。また、工場側からは廃タイヤから回収したカーボンブラックや熱分解油の供給を受けることも決まっている。
ジョイントベンチャーが設立する最初のタイヤリサイクルプラントは、2023年前半にスウェーデンのウッデバラ市に建設予定で、2025年までに完全稼働する見込み。
その後、2030年までに欧州全域に商用プラントを増設し、すべての工場が稼働すれば年間最大約100万トンに及ぶ廃タイヤのが行なわれる予定だ。
使用済みタイヤの廃棄量は年々増加しており、欧州だけでも年間約350万トンに及ぶが、2030年以降はその約3分の1をジョイントベンチャーがリサイクルを担うことができる。
ちなみに日本自動車タイヤ協会(JATMA)の発表によると、日本の2021年の廃タイヤの発生量は年間9100万本で、重量換算では98万7000トン。このリサイクルグループは日本のすべての廃タイヤをリサイクルできる処理能力があるというわけだ。
エンバイロによれば、従来のカーボンブラックを同社のリサイクルカーボンブラックに置き換えることで、炭素排出量を90%以上削減できるとし、100万トンの使用済みタイヤの目標量に基づくと、二酸化炭素排出量は67万トン削減される。
さらに、抽出された熱分解油は6TWhのエネルギー含有量を持ち、化石燃料の代替エネルギーとして活用することができるとしている。
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